テーマ : 静岡市

記者コラム「清流」 次の一歩を

 7年前、高校陸上部の顧問のひと声で愛知県から能登半島へ向かった。輪島市で開催された競歩の全国大会。前年のけがでインターハイの夢を諦めて下を向いていた私の目に映ったのは沿道いっぱいに並んで応援する地元住民の姿だった。海風や日差しも背中を押してくれ、歩け歩けと思ううちにゴールにたどり着いた。過去を嘆いて立ち止まっていた私に、夢に向かって歩き出す大切さを気付かせてくれた瞬間になった。
 しかし、能登半島地震の被災地に入った静岡市消防局隊員への取材で聞いた現状は当時の記憶とは全く違った。大会の走路だった輪島市河井町の火災被害にも言葉を失った。今年の大会は中止になったという。7年前、勇気をくれた輪島の人々が復興の道へ次の一歩を踏み出せるよう、私がすべきことを問い続けたい。
(社会部・鈴木紫陽)

いい茶0

静岡市の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞