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静岡県内ボーリング 実施へ JR社長検討「県、関係者に説明」【大井川とリニア】

 JR東海の丹羽俊介社長は7日に名古屋市で開いた定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事のうち、県内で実施する予定の高速長尺先進ボーリングについて、大井川流域市町から提案があった大井川上流部の田代ダム取水停止期間中の実行に向けて「県や他の利水関係者の方々に説明していきたい」と述べ、具体的に検討する考えを示した。

県内のリニア工事について見解を述べるJR東海の丹羽俊介社長=7日午後、名古屋市
県内のリニア工事について見解を述べるJR東海の丹羽俊介社長=7日午後、名古屋市

 大井川流域10市町は2月25日に静岡市で開かれたJRとの意見交換会で、発電設備の改良工事に伴い田代ダムでの取水が停止される2月から2025年11月までの間に県内でボーリングを実施して湧水が県外に流出しても、JRによる返水の方策は必要ないとの意向を示し、ボーリングの早期着手を求めていた。
 丹羽社長は「取水停止期間中は平均で毎秒約2・5トンの水が追加的に大井川に還元される。(JRによる湧水の県外流出対策として)取水抑制する期間と比べて大井川の流量は豊富になる」と述べ、この期間にボーリングを実施する利点を強調した。
 加えて、山梨県内で休止していた先進ボーリングは機材の保守点検作業が終了したため、近く再開すると明らかにした。ボーリングは静岡県境まで459メートルの地点で23年10月から中断していた。同社によると、山梨県のトンネル先進坑掘削は県境まで548メートル地点まで進行している。
 JRの環境保全対策の実施状況を確認する国土交通省モニタリング会議については、矢野弘典座長の求めに応じ、今後、静岡工区のトンネル掘削の工程を示すとした。矢野座長が、モニタリング対象とする動植物の分布や地下水のありようについて行政区分にとらわれずに弾力的に考える必要があると指摘したことに関しては、「意見を踏まえ、会議事務局の国交省と相談の上、柔軟に対応したい」と述べた。
 (政治部・尾原崇也)

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