あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 経済しずおか

金ナノ粒子で色鮮やかカラーフィルム 静大工学部・小野教授グループ開発 カメラやディスプレーなど応用期待

 金属の金でできているのに鮮やかな青、緑、赤色(マゼンタ)に見える―。そんなカラーフィルムを、静岡大工学部兼電子工学研究所の小野篤史教授(45)の研究グループが金の超微粒子を使って開発した。宇宙で使う特殊なカメラや高精細のディスプレーに必要とされるフィルターなどへの応用が期待できるという。成果をまとめた論文がこのほど、米国化学会の国際誌に掲載された。

金ナノ粒子で開発したカラーフィルム
金ナノ粒子で開発したカラーフィルム
小野篤史教授
小野篤史教授
金ナノ粒子で開発したカラーフィルム
小野篤史教授


 金の粒子は古来、ステンドグラスや江戸切子などを赤くするために使われている。金は、青色以外のさまざまな色を反射するため黄金色に見えるが、粒子にして水やガラス内に分散させると、通り抜けた光が赤色に見える性質が利用されてきた。
 小野教授のグループは、50ナノメートル(ナノは10億分の1)の金ナノ粒子に、コンタクトレンズなどに使われるPDMS(ポリジメチルシロキサン)を加えると、赤色のカラーフィルムになることを発見した。粒子の大きさなどによって色が変わる性質を利用し、青色や緑色も実現。赤、青、緑色の「光の三原色」を混ぜ、他の色も開発した。
 金ナノ粒子のフィルムは放射線や紫外線などに強い耐性があり、曲面に加工することもできる。通常のフィルターに比べ、きめ細かなフィルターの開発につなげられる可能性もあるという。約1センチ四方のカラーフィルムを大面積化することや、別の金属のナノ粒子を使ってより明瞭な黄色のフィルムを作成する研究を進めている。
 小野教授は「金は金色というのが一般常識だが、ナノ粒子にすると異なる色を出せる。多くの人が不思議に思う研究を深め、新たなカメラやディスプレーの登場につなげられれば」と話した。
 (浜松総局・白本俊樹)

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

経済しずおかの記事一覧

他の追っかけを読む