平穏な日常風景 一変 崩れる山肌 ビル多数損壊 緊急ルポ 台湾地震
【花蓮共同】「どんどん傾いている。危ないから離れて」。1階部分がつぶれた建物を警察官が見つめていた-。台湾沖で3日発生した地震で最大の被害が出た東部・花蓮に共同通信の記者が入った。平穏な日常風景は一変。建物の倒壊から逃れようと人々は街頭に飛び出した。
砂ぼこりを上げて崩れる山肌、巨大な石の直撃を受けたトラック。台湾メディアによると、花蓮では複数の建物が大きく損傷した。上階に閉じ込められた住民を、はしごを使って助け出す救急隊。今にも倒れそうなビルをぼうぜんと見つめる人に周りの人が「近寄らないで」と声をかけた。
別の場所でメディアの取材に応じた住民は「ズボンもはかず、なんとか2階の窓から逃げ出した」と話した。傾いた建物の住民は「ドアが開かず困った」と嘆いた。
発生時に花蓮でカフェの開店準備中だった男性店主は共同通信の電話取材に「立っていられないほど大きな上下左右の揺れだった。1、2分ほど続いたように感じた。怖かったが、周囲にけが人はおらず、ほっとしている」と語った。
現地メディアによると多くの建物の外壁が崩れ落ち、道路に散乱。ガス漏れや水道管の破裂も起きた。海岸沿いの山では大規模な土砂崩れが発生し、茶色い土煙が海になだれ込んだ。山間部では落石で車やトラックが損壊した。
テレビ局が伝えた津波の映像では、強い水流が漁港に押し寄せていた。