テーマ : 焼津市

夜空彩る星々 探してみよう 静岡県内各地で観望会【しずおかアウトドアファン】

 夜、星がきれいに見えると冬の訪れを感じる-。そう思う人は多いのではないだろうか。空気中の水蒸気が少なくなる冬は、大気が澄んで天体観測には絶好の時期。静岡県内各地で開かれている観望会を訪ね、夜空を彩る星々の楽しみ方を聞いた。
 (生活報道部・伊藤さくら、草茅出)

プレアデス星団(すばる)=2022年11月26日撮影、浜松市天竜区の竜頭山天竜の森(町田謙吾さん提供)
浜松 親子ら冬の星座に歓声 望遠鏡で星を見る子どもら=11月中旬、浜松市浜北区の浜名小
 11月18日夜、浜松市浜北区の浜名小で開かれたのは「星を見るつどい」(市主催)。気温は7度と前日から5度下がり、一足早く冬を感じる冷え込み。夕方まで曇っていた空は夜になると雲が切れ、月明かりが校庭を照らした。
 集まった親子約200人を前に、浜北少年科学クラブの指導員らが星空を指し示しながら解説した。「これが冬によく見える星座のカシオペヤ座。この星座が分かると近くに北極星を見つけることができる」。参加者は目線を動かして北極星を見つけると「あったあった!」と歓声を上げた。
 校庭には月や惑星が見えるよう設定された10台の望遠鏡が置かれ、子どもたちが順番にのぞいた。宇宙飛行士を夢見る浜名中1年の長野陽人さん(12)は「ペルセウス座の二重星団が明確に見えて面白かった」と目を輝かせた。プレアデス星団(すばる)を観察したという赤佐小5年の大杉聡君(11)は「星がたくさん集まっていて数えたら60個くらいあった。星は遠くにあるため自分が小さく感じる」と宇宙の広さに思いをはせていた。
 天体観測を楽しむこつは-。指導部代表の鈴木英之さん(68)に尋ねると、「まずは秋のペガスス座、冬のオリオン座のように代表的な星座を一つ覚えること」と答えが返ってきた。一つ覚えたら次は、その隣の星座を覚える。それを繰り返すうちに徐々に星座の世界が広がっていくという。「点にしか見えなかった星と星が線で結ばれて星座になり、さらに星座の絵が見えるようになれば」とこつを伝授する。
 会場では参加者にすばるの天体写真がプレゼントされた。撮影したのは同クラブ指導員で遠州天体写真愛好会会員の町田謙吾さん(55)。撮影時には暗い空を求めて市街地から離れた場所へ遠征し、自然条件に左右される中で、カメラを長時間露光する。望遠鏡でもほとんど見えない淡い星雲を色鮮やかに描写できるのは天体写真ならではの魅力だ。「撮影時間がかかる分、成功した時の喜びはひとしお。子どもたちが写真を見て星空の美しさや宇宙の不思議に触れ、天文に興味を持ってくれたら」と期待を寄せる。
天文台で定期イベントも 望遠鏡を使い天体観測を体験する参加者=11月中旬、静岡市清水区の星の広場天文台
 県内には、行政や民間団体が設置、運営する天文台があり、定期的に観望会などを開いている。自由参加の場合も多く、気軽に天体観測を楽しめる。
 静岡市清水区の清水船越堤公園にある星の広場天文台。市街地を見下ろせる一角に口径41センチのカセグレン式反射望遠鏡を備えたドームが立つ。市の委託を受けた県天文研究会が運営を担い、毎月第3土曜日の夜に観望会を開いている。
 11月18日の観望会には、親子連れら20人ほどが来場し、ドームの望遠鏡や屋外に並べた比較的小型の望遠鏡で星空を眺めた。参加者は会員の説明を受けて木星や土星、プレアデス星団(すばる)などを見つけると「初めて生で見られた。感動した」などと歓声を上げた。案内役を務めた会員の山田昇さん(71)は「星の広場天文台は市街地から近く、思い立ったらすぐに来られるのが魅力。花見や昆虫採集の途中で立ち寄って行く人も多い」と話す。
静岡市清水区で11月に撮影された木星(山田昇さん提供)
静岡市清水区で10月に撮影された土星(山田昇さん提供)
 県内の天文台はこのほか、ディスカバリーパーク焼津天文科学館(焼津市)、浜松市天文台(南区)、月光天文台(函南町)などがあり、定期的に観望会などを実施している。珍しい天文現象の際には、特別に催しを開く場合もある。

いい茶0

焼津市の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞