農村地域にフロランタン店 地元元気に 磐田の稲田さん親子
磐田市上野部の神田地区に今春、県内でも珍しいフランス菓子のフロランタン専門店「神田リジエール」がオープンした。同地区は市最北部に位置し、山に囲まれたのどかな農村地域。「お店を通じて、自然豊かなこの地域を知ってもらいたい」と、地元の親子が地区唯一の店舗を切り盛りしている。
フロランタンは、クッキー生地にキャラメルをコーティングしたナッツをのせて焼き上げた菓子。神田リジエールは店主の稲田沙樹さん(29)が接客やラッピング、父の茂樹さん(64)が製造を分担している。
定年退職後に菓子作りを趣味にしていた茂樹さん。特にフロランタンが知り合いにも好評で、マルシェ出店を打診されたことを機に、カフェ経営が夢だった母の里美さん(58)が開業を提案した。
自宅の一部を改修し、調理場や販売カウンターを設置。「過疎化が進む地域の活気につなげたい」(沙樹さん)と店名に「神田」を入れた。塩、チョコ、きな粉味など常時5種類を用意するほか、期間限定のフロランタンも販売する。沙樹さんは「ギフトや手土産として買ってもらうことで、神田の名が広がれば」と期待する。
フロランタンはクッキー生地にも風味を付け、豊かな香りや深い味わいが楽しめる。独学で製法を身につけたという茂樹さんは「自分がおいしいと思う材料を使いながらも、手頃な価格に抑えたい。何度も来てくれる人がいるのがうれしい」と話す。
価格は1本250円から。不定休で、インスタグラムで受け付ける予約販売が中心。週2回ペースで店頭販売も行っている。
店先にベンチを設置し、ドリンクを提供することも検討している。
沙樹さんは「住民や外から来た人が交流できる場所にしたい」と夢を膨らませている。