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テーマ : 経済しずおか

春闘集中回答日 静岡県内、賃上げ機運に高まり 中小への広がり課題

 2024年春闘の集中回答日を迎えた13日、静岡県内の主要製造業で労働組合側の要求を上回る回答や満額回答が昨年に続いて相次いだ。歴史的な物価高を受け、前倒しによる妥結で待遇改善の積極姿勢を打ち出した企業が複数あり、賃上げ機運の高まりを印象づけた。原材料高などに苦しむ中小企業に賃上げが波及するかが課題となる。

静岡県内主要企業の2024年春闘回答結果
静岡県内主要企業の2024年春闘回答結果


 スズキは人事制度刷新を踏まえ、「組合要求を超える」(同社)平均10%以上の賃上げを回答した。過去最高水準で、年間一時金も満額。白井晴行書記長は「組合員の『挑戦と行動』への期待をもって判断された回答」とコメントした。
 ヤマハはベースアップで1万3千円、年間一時金5・2カ月と満額回答した。初任給は大卒が要求24万9千円に対して25万円、高卒は19万3千円に対して20万円。伊佐地豪文中央執行委員長は「地域における採用力の観点から高卒については意識してほしいと要求し、それ以上の回答をいただいた」と話した。
 ヤマハ発動機は、1回目の団体交渉で満額回答したベア1万1千円(定期昇給分を含めた総額1万7400円)、年間一時金6・5カ月で組合側と妥結した。グループ内企業でも満額以上の回答が続いているという。同社労組の平野雅紀中央執行委員長は「経営側の異例の早期回答が社会全体の賃上げ機運につながれば」と期待した。
 浜松ホトニクスはベアに代え、若年層などに厚く配分する方針とし、1人平均月額1万2千円、定期昇給分を含めた総額は1万8800円の賃上げで早期決着した。年間一時金は6・0カ月。組合は満額回答を得たとして、前年に続いて団体交渉初日に合意した。久保田曜執行委員長は「人材を獲得できる賃金体系が必要との意見が労使で一致した」と強調した。
 三菱電機は1万3千円で2年連続の満額回答。年間一時金は要求6・3カ月に対し5・8カ月。同労組静岡支部の仁王尚夫執行委員長は「人への投資の重要性を会社と共有できた」と述べた。
 今後の焦点は、大手が形成した賃上げの流れを中小企業がどの程度くめるのかに移る。事業環境の厳しさを理由に二の足を踏めば、人材獲得競争で不利に陥る。連合静岡の角山雅典会長は「下請けが弱い商慣習を転換すべきだ。労務費の適切な価格転嫁を進め、大手との賃金格差を縮める機会にしたい」と語った。

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