賃上げ持続の鍵は? 春闘、公労使で議論 静岡県内
静岡労働局と県、県内経済団体による「働きやすい職場づくり推進公労使協議会」が28日、静岡地方合同庁舎で開かれ、今春闘で機運が高まる構造的賃上げを議題に掲げた。経済団体の代表者は人件費高騰で収益が圧迫される企業経営の窮状を訴えたのに対し、労働者側は「社会を変える正念場」として物価上昇を上回る賃上げの必要性を呼びかけた。
企業間で適正な価格での取引を促し、賃上げの原資となる利益の確保を後押しする「パートナーシップ構築宣言」の実態について、県が実施した調査結果も公表された。コスト高騰分の価格転嫁率は42・3%で全国水準を下回り、「全くできていない」とする企業は22・7%。経済団体の出席者からは「利益がなければ価格転嫁に応じられず、賃上げも難しくなる」との意見が出た。
その上で「失われた30年をこの1~2年で取り戻すのは厳しい」と指摘。多くの企業は人材流出を避けるための防衛的な賃上げを行っているとし、持続性の確保には生産性向上が先決との考えを強調した。
一方、連合静岡の出席者は30年ぶりの高水準となった昨年の賃上げを「物価上昇にはビハインド」とし、今春闘の結果について「非正規労働者にも影響を及ぼす」と述べた。経済の好循環実現のため「誰もが効果を実感できる賃上げ」を呼びかけたほか、景気底上げに向けて価格転嫁の着実な推進、適切な対価の支払いを受け入れる消費者マインドへの転換を訴えた。
(経済部・金野真仁)