タイ車市場、中国EVが攻勢 先行の日系と拮抗、存在感 バンコク国際モーターショー公開
【バンコク共同】日本の自動車産業の生産拠点が集積するタイで26日、自動車展示会「バンコク国際モーターショー」が報道陣向けに公開された。電気自動車(EV)が主役で、攻勢をかける中国勢に比べ出遅れ気味の日本勢も現地生産や新規事業を相次ぎ発表し、対抗する構えを示した。
中国勢は少なくとも8社が出展。過去最大の展示規模となり、長く現地に根付き圧倒してきた日本勢と展示スペースなどで拮抗(きっこう)するまでにその存在感を高めている。
トヨタ自動車は現地で需要が強いピックアップトラックのEVの量産を来年末までに開始すると発表。ハイブリッド車(HV)の品ぞろえを広げてシェア1位を維持しているが、現地法人の山下典昭社長は需要やEVインフラの状況を見据えながら「(EV事業を)ステップ・バイ・ステップで進める」と強調した。
現地でシェア2位のいすゞ自動車は強みのピックアップトラックでEV試作車を初公開した。ホンダは現地生産したEVのスポーツタイプ多目的車(SUV)をレンタルやリースで提供すると発表した。EVのアフターサービス面で課題があると考え、まず販売ではない方式で参入する。
中国EV最大手の比亜迪(BYD)は参入約1年でEV市場シェア1位を獲得。BYD幹部は建設中のタイ東部の工場が今年7~9月に稼働する予定だと説明し「(年産15万台を)なるべくタイ市場で販売したい」と意気込んだ。
EVを中心に据える中国や韓国勢の攻勢を受け、2023年のタイ国内市場で日系全体のシェアは8割を切った。中国系による販売店の引き抜きもあり、マツダや三菱自動車、スズキなどの販売台数は前年比でいずれも3割以上落ち込んだ。