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テーマ : 経済しずおか

輸入規制の撤廃難航 日本産食品 7カ国・地域で継続

 東京電力福島第1原発事故から11日で13年を迎えた。日本産食品は、中国や韓国など7カ国・地域が輸入規制を続けている。昨年の原発処理水の海洋放出に反発する中国は、日本産水産物の輸入を全面的に停止した。日本政府は規制撤廃を働きかけているものの、解決は各国の政治的な判断に左右されかねず、交渉は難航しそうだ。

日本産食品を巡る輸入規制、処理水放出に伴う輸入停止措置
日本産食品を巡る輸入規制、処理水放出に伴う輸入停止措置

 原発事故後に55の国・地域が日本産食品の輸入規制を導入した。昨年8月に欧州連合(EU)が規制を撤廃するなど、徐々に解除が進んできた。現在も規制を続けているのは中国、香港、マカオ、韓国、台湾、ロシア、フランス領ポリネシア。
 日本政府はこれまで日本産食品の安全性は証明されているとして、科学的な根拠に基づく規制撤廃を訴えてきた。ある政府関係者は「残された国・地域はもはや科学の議論ではない。政治的なトップの決断がないと動かないだろう」と指摘する。
 日本にとって農林水産物・食品の最大の輸出先の中国は、新潟県産米を除く10都県の全ての食品輸入を停止している。処理水の放出以降は水産物の輸入を全面的に止め、日本の水産関係者は大きな打撃を受けた。
 農林水産省によると、2023年の農林水産物・食品の輸出額は1兆4547億円で、11年連続で過去最高を更新。うち中国は2376億円と首位で全体の2割近くを占めた。ただ水産物の輸入停止により冷凍ホタテなどが落ち込み、全体の成長も鈍化した。
 坂本哲志農相は「世界へ日本の食材や料理を売り出していきたい」と訴える。政府は30年までに輸出額を5兆円に引き上げる目標を掲げており、達成に向けて新たな輸出先の開拓が急務となっている。

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