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テーマ : 経済しずおか

東電、再建計画の見直し本腰 柏崎再稼働が焦点

 東京電力ホールディングスは、経営再建計画の見直しを本格化させる。柏崎刈羽原発(新潟県)の早期再稼働などが焦点になる。東日本大震災から13年になるが、福島第1原発事故の賠償が増え続ける一方、業績が振るわず、現行計画での利益目標の達成が遠いためだ。事故対応費用の確保も想定通りには進んでいない。新たな計画の策定は早くても今夏以降になる見通し。

東京電力福島第1原発事故の対応費用
東京電力福島第1原発事故の対応費用
東京電力福島第1原発事故の対応費用

 政府は、東電が賠償と廃炉を安定的に進めるため、経営再建計画を認定している。2021年の「第4次総合特別事業計画」まで数年ごとに改定を重ねてきた。賠償と廃炉のため年5千億円程度を確保し、さらに年4500億円規模の利益創出が目標となっている。
 だが、東電の経営を評価する国の有識者会議は昨年12月、利益目標について「実現の道筋は見えない」と指摘した。事故の対応費用は膨らんでおり、処理水の海洋放出に伴う賠償などが加わったことで、昨年12月には23兆4千億円に引き上げられた。
 経営再建の鍵を握るのは、1基稼働すると年間約1100億円の収支改善が見込める柏崎刈羽原発の再稼働だ。政府関係者は「早期の再稼働を目指す」とするが、能登半島地震を受けて住民の避難方法が改めて問われるなど課題は多い。
 新たな第5次計画の策定では、柏崎刈羽原発の再稼働への取り組みが焦点になる。事業拡大に向けた他社との提携の実現や、燃料費の変動などに対するリスク管理の高度化も議論の対象になるとみられる。
 事故対応費用は、東電の支払いが滞らないよう国が一時的に立て替えている。賠償費用分は東電と他の電力会社が支払う負担金から回収する仕組みで、一部は家庭が契約する電気料金に上乗せされている。東電の収益改善が進まなければ、税金や電気料金を通した国民の負担の長期化につながりかねない。

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