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テーマ : 経済しずおか

スマホ決済還元策 浸透 現金派の不公平感 根強く 講習会、紙の商品券併用も【スクランブル】

 QRコード決済をすれば、支払った金額の一定割合がポイント還元される消費喚起策が全国の自治体に浸透している。新型コロナウイルス禍で本格化し、消費者から好評で複数回開催するケースも目立つ。一方、デジタル機器の操作が苦手な高齢者ら「現金派」の不満は根強い。自治体はスマートフォン講習会や紙の商品券の併用で不公平感解消に腐心している。

福岡県田川市が実施したキャンペーンのポスター=1月、市役所
福岡県田川市が実施したキャンペーンのポスター=1月、市役所
QRコード決済による消費喚起策のイメージ
QRコード決済による消費喚起策のイメージ
福岡県田川市が実施したキャンペーンのポスター=1月、市役所
QRコード決済による消費喚起策のイメージ

 「『毎月やってほしい』との声もある。消費の下支えだ」。かつて炭鉱で栄え、人口約4万5千人の福岡県田川市は1月、喚起策第4弾を実施し、市産業振興課企業雇用商工係の瀬戸口貢係長(46)は効果を実感していた。
 自治体は主に大手のコード決済事業者と連携して開催。予算は国の地方創生臨時交付金などで賄う。田川市は2020年10月に初めて実施した。現在提携する決済サービスは「PayPay(ペイペイ)」と「au PAY」、「d払い」の3種類。20%還元の喚起策を実施している間、市内の決済サービス利用者数は3割増えたという。
 ただ、デジタル機器の操作が不慣れな人や、持っていない高齢者らは恩恵を感じづらい。23年10月1日時点の高齢化率が34%と、県平均(31%)を上回る田川市には喚起策の導入前「スマホを持っていないので自分はメリットを享受できない」との苦情が複数寄せられたという。
 コロナ禍が落ち着いた後も、同様の施策を実施する自治体は増え続けてきた。中心を担うペイペイは20年7月から取り組みを開始し、今年2月15日時点で実施済みまたは開催予定が457自治体に上る。このうち、2回以上は山形県酒田市や滋賀県長浜市など281自治体あり、最多は岩手県花巻市の10回だった。
 同社担当者は「自治体は商品券の発行や印刷が不要になる」と指摘。利用者も商品券購入で外出しなくていいなど「それぞれに利点があり、複数回実施につながっているのではないか」とした。
 自治体にとって「デジタル弱者」への支援は急務だ。内閣府が23年7、8月に約1600人から回答を得た調査では、70代以上の約半数がスマホなどを「ほとんど利用していない」か「利用していない」としている。
 田川市は「紙への信頼感は根強い」として、09年から発行する紙の商品券販売を継続。喚起策に合わせ、スマホ講習会も開催している。花巻市も携帯ショップで相談を受け付けている。役所内に操作全般の相談窓口を設置する自治体も多い。田川市の瀬戸口係長は「まずはキャッシュレス決済をきっかけにスマホに慣れてもらいたい」と話した。

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