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テーマ : 経済しずおか

過熱相場 未知の領域へ 強気と不安 せめぎ合い 東証初の4万円突破

 日経平均株価が4日、史上初めて4万円の大台を突破した。半導体関連株が主導する過熱相場は続き、市場はかつてバブル経済期にも到達できなかった未知の領域に踏み込んだ。上昇基調は業種を横断して広がる兆候を見せるが、株価の先行きには強気と不安がせめぎ合う。

一時、4万0314円64銭を付けた日経平均株価を示すモニター=4日午前、東京・東新橋
一時、4万0314円64銭を付けた日経平均株価を示すモニター=4日午前、東京・東新橋
日経平均株価の上昇業種と要因
日経平均株価の上昇業種と要因
一時、4万0314円64銭を付けた日経平均株価を示すモニター=4日午前、東京・東新橋
日経平均株価の上昇業種と要因


 「積み立てていた投資信託の含み益が100万円単位になった」。東京都内に住む40代の男性会社員は、驚いた様子で話す。売却して話題の半導体株に乗り換えようとも考えたが、急騰した分、手を出した途端に「値下がりするのが怖い」という。

 ■空前の活況
 東京株式市場では今、半導体株が空前の活況を迎えている。昨年末からわずか2カ月余りで、製造装置の東京エレクトロンや検査装置のアドバンテストの株価は50%以上も上がった。
 背景にあるのは、先端半導体が不可欠な生成人工知能(AI)への期待だ。電子情報技術産業協会(JEITA)によると世界の生成AI需要は2030年に2110億ドル(約31兆円)となり、23年の約20倍に拡大する見通しという。
 AI特需に沸く米国市場では、世界的メーカーのエヌビディアの株価が今年に入って60%超上昇。時価総額も米企業で3社目となる2兆ドル(約300兆円)の大台を超えた。日本のトップのトヨタ自動車(約60兆円)と比べても圧倒的で、期待の強さがうかがえる。

 ■うねり
 半導体株高の波は東京市場の他の業種にも及ぶ兆しがある。その一つが銀行株。日銀が今春マイナス金利の解除に動くとの見方が支えだ。金利が上昇すれば貸し出しの利ざやも増え、業績が伸びるとの思惑から、メガバンクや地銀株は堅調に推移している。不動産株や小売株も、歴史的な物価高という逆風にもかかわらず、経済がデフレを脱却すれば需要も回復するとの見込みを支えに底堅い動きとなっている。
 ただ相場のうねりを経験してきた市場関係者には、年初からほぼ一本調子で駆け上がる株価への懸念が日増しに募る。楽観的とも思える強気ムードに「論理的な説明ができない」(資産運用会社)との声も出始めた。
 バブル期から市場に関わる野村証券の神谷和男ストラテジストは「本来上昇と下落を繰り返す株価の動きが、今は悪くても横ばいにしかならない。投資家の買い意欲は旺盛だが、予想を裏切るような悪材料が出た場合の反転リスクには注意が必要だ」と話す。

解説 期待先行に危うさ  4日の東京株式市場で日経平均株価が4万円を突破した。2月下旬にバブル経済期以来の最高値を更新した勢いが止まらず、市場関係者も経験のない大台に到達した。年明けから期待先行で急上昇してきた分、相場が不安定化する危うさは否定できない。
 上昇相場の根底には、日本経済がデフレから抜け出すとの期待がある。進行中の今春闘では物価高に負けない賃金上昇が焦点になっており、一部大企業は既に大幅な賃上げを表明。市場はこの流れが中小企業にも波及するはずだと踏んでいる。
 急伸を支える半導体関連株の上昇も思惑が先走る。生成人工知能(AI)向けの需要が増えるとの見方から日米の市場でハイテク銘柄が買われ、投資家心理を盛り上げている。
 こうした先読みの相場はしぼみやすい傾向も持つ。バブル期の株価上昇は「地価が上がり続ける」との土地神話に頼った。足元では堅調な企業業績など株価を裏付ける材料が他にあるものの、逆回転するリスクを指摘せずにはいられない。

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