60年GDP 先進国最低に 経済財政諮問会議 人口減対策不十分で
政府は29日、経済財政諮問会議を開き、人口が減る中で経済を成長させる方策について議論した。内閣府は、人口減対策が十分に進まない場合、国民1人当たりの実質国内総生産(GDP)が2060年に米英独仏など主要先進8カ国で最下位に転落する恐れがあるとの試算を示した。生産性向上などにより60年に4位になることができるとみており、具体策の取りまとめが課題だ。
岸田文雄首相は会議で「人口減少が本格化する30年までに必要となる制度改革の実施を目指す」と語った。
内閣府によると20年の1人当たり実質GDPは日本が4万1千ドルで、8カ国中6位。3位の米国(5万9千ドル)や5位のドイツ(4万8千ドル)を下回るものの、英国(4万ドル)とフランス(4万ドル)を上回った。
ただ、生産性向上や高齢者の労働参加の拡大、出生率改善が十分に進まなければ、日本は60年に6万2千ドルとなり、英国(7万6千ドル)やフランス(7万1千ドル)に及ばず最下位に降格する。対策が進めば日本は9万4千ドルとなり、ドイツや英国、フランスなどを抜いて4位となる。
今後、長期の財政試算も踏まえて意見を交わし、政府が6月に取りまとめる経済財政運営の指針「骨太方針」に反映させる。