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テーマ : 経済しずおか

損保カルテル132人処分 大手4社 社長ら報酬減 政策保有株6.5兆円売却

 東京海上日動火災保険など損害保険大手4社は29日、企業保険のカルテル問題で、再発防止策を盛り込んだ業務改善計画書を金融庁に提出し、各社の社長ら幹部への社内処分を発表した。役員報酬の減額など処分を受けた幹部は4社で計132人と異例の規模になった。今後は再発防止を徹底して信頼を回復できるかどうかが焦点となる。

カルテル問題を巡る損害保険大手4社の処分内容
カルテル問題を巡る損害保険大手4社の処分内容


 4社は同業他社との適正な競争を阻害する要因になったとして、顧客企業との関係を深めるために株式を持つ「政策保有株式」を売却する方針も発表した。4社の政策保有株式は昨年3月末時点で計約6兆5千億円に上り、日本企業の持ち合い解消の動きが加速する。
 各社の社内処分は、東京海上日動が広瀬伸一社長や持ち株会社の東京海上ホールディングスを含め計57人、三井住友海上火災保険が船曳真一郎社長ら14人、あいおいニッセイ同和損害保険が新納啓介社長ら12人。
 損害保険ジャパンは中古車販売大手ビッグモーターによる保険金不正請求問題と合わせ、白川儀一前社長や持ち株会社のSOMPOホールディングスの桜田謙悟会長兼グループ最高経営責任者(CEO)ら計49人を処分した。処分とは別に、SOMPOの社外取締役ら17人が報酬を自主返上する。
 4社は昨年12月、企業に提示する保険料を事前に調整するカルテル行為があったとして金融庁から業務改善命令を受けた。金融庁は保険商品の内容ではなく、政策保有株式の状況で契約が決まる場合があると指摘。こうした商慣習が競争意欲を損ない、カルテルを生む土壌になったとして政策保有株式の削減を加速するよう求めていた。
 4社は再発防止に向けて同業他社と接触する際のルールを明確にし、独禁法に関する研修を徹底する。コンプライアンス(法令順守)部門を拡充するほか、社員が内部通報しやすい環境も醸成する。損保ジャパンは2022年6月に廃止した社外取締役を4月に復活させ、監督機能を抜本的に強化する。

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