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テーマ : 静岡市

ミカンふわっと香る日本酒 花酵母使い3社製造、発売 JAしみず合併50周年

 「清水のミカンの花酵母を使った日本酒を召し上がれ」―。ミカンの生産が盛んな静岡市清水区庵原町に本店があるJAしみずは、日本で初めて青島ミカンの花酵母を使った日本酒を来月から発売する。区内三つの酒造会社に製造を依頼したお酒は三者三様。酒造りの工程や使う井戸水の微妙な違いによる味わいのバラエティーも楽しめるという。

青島ミカンの花酵母を使って、地元の三つの酒造会社が完成させた日本酒瓶を示すJAしみずの青木陽一郎常務理事(中央)ら=8月上旬、静岡市清水区庵原町の同JA本店
青島ミカンの花酵母を使って、地元の三つの酒造会社が完成させた日本酒瓶を示すJAしみずの青木陽一郎常務理事(中央)ら=8月上旬、静岡市清水区庵原町の同JA本店
花酵母を採取したミカンの花(JAしみず提供)
花酵母を採取したミカンの花(JAしみず提供)
青島ミカンの花酵母を使って、地元の三つの酒造会社が完成させた日本酒瓶を示すJAしみずの青木陽一郎常務理事(中央)ら=8月上旬、静岡市清水区庵原町の同JA本店
花酵母を採取したミカンの花(JAしみず提供)

 「花酵母の苦みがアクセントになり、マーマレードに似た味わいのお酒になった」。英君酒造の望月裕祐社長(58)は振り返る。花酵母はアルコールの出方が穏やかだが、かんきつの含み香が生まれるなど満足のいくお酒になったという。
 「正雪」が知られる神沢川酒造場の望月正隆社長(60)も「一般に花酵母は発酵力が弱い傾向があるがそれほど苦労なく扱えた。食中酒に最適なお酒ができた」と満足そう。興津川の伏流水を使い唯一微発砲に仕上げた「臥龍梅」ブランドの三和酒造の鈴木克昌社長(67)は「果実特有のえぐみをあえて残し甘めに仕上げた」とこだわりを述べた。
 今回のプロジェクトは、JAしみずの母体の九つの農協が今秋、合併50周年を迎えるのを記念した。昨年5月、組合員が地元の畑20カ所からミカンの花を採取。東京農大の協力でミカンの花の中央付近に付いた天然の清酒酵母を分離し培養することに成功した。
 清水区の山間部はミカン栽培が盛ん。同JA内のミカンの年間生産量は約6千トンで県中部の4JAの中でトップ。ただ、近年の販売額は合併後のピークだった1970年代に比べ半分以下の15億円程度となっている。
 ミカンの花の香りをかぎながら通学したJAしみずの青木陽一郎常務理事(58)は「地元の人も同じ体験をしている人が多い。『オール清水』で造ったお酒がふるさとを応援するようなものになれば」と述べた。原料米は区内の農家が生産した「誉富士」を100%使用。純米吟醸酒720ミリリットル瓶3本セットで5千円(税抜き)でネット販売する予定。

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