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テーマ : 静岡市

神坂雪佳《金魚玉図》 受け継がれる琳派の技【静岡市美術館 「京都 細見美術館の名品」展③】

 ゆらゆらと尾をゆらし、こちらを見つめる金魚。真正面から金魚を捉えた本図は一度見たら忘れられないユニークかつ大胆な作品である。

明治末期 細見美術館蔵
明治末期 細見美術館蔵

 金魚を囲う白い円は、金魚を入れて軒先などにつるすガラスの容器・金魚玉。下半分に大きく余白を取った見事な構成で、周囲には揺れる釣忍(つりしのぶ)、掛け軸の表装には簾(すだれ)に見立てた裂をあしらった、盛夏に飾るにふさわしい涼を感じる作品となっている。
 江戸時代初期、本阿弥光悦、俵屋宗達らが起こした新様式は後に「琳派」と呼ばれ、以降、近代にいたるまで組織による継承ではなく私淑により断続的に形成されていった。本図を描いた神坂雪佳(せっか=1866~1942年)は近代・京都で活躍した画家・図案家。はじめ四条派の画技を習得、岸光景のもとで工芸図案を学ぶなかで琳派に傾倒した。
 金魚の形は輪郭線を描かない没骨法(もっこつほう)、模様を金泥のにじみ(たらし込み)で表す。琳派でよく用いられる技法だが雪佳の卓越した筆さばきと計算された構図力が光る。
 (大石沙織・静岡市美術館学芸員)

静岡市美術館 「京都 細見美術館の名品」展  ■会期   4月13日~5月26日。休館日は4月15日、22日、5月7日、13日、20日
 ■会場   静岡市美術館=静岡市葵区紺屋町17の1 葵タワー3階<電054(273)1515>
 ■開館時間 午前10時~午後7時
 ■観覧料  一般1400円(前売り、団体1200円)高校生・大学生・70歳以上1000円(同800円)中学生以下無料
 ■主催   静岡市、静岡市美術館、静岡市文化振興財団、静岡新聞社・静岡放送

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