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袴田さん差し戻し審 血痕「赤み 残りうる」 検察証人言及、弁護団は批判

 旧清水市(静岡市清水区)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直しを求めている袴田巌さん(86)の差し戻し審で、検察側証人の法医学者2人への尋問が1日、東京高裁で非公開で実施された。このうち1人は、長期間みそに漬かった血痕の変色を巡って「検察官の実験から推測すると赤みが残る可能性がある」と言及した。弁護団は尋問後の記者会見で「論理的、化学的な説明はなく、検察官の主張に沿う結論だけを述べている」と批判した。
 弁護団が会見で、尋問の内容を明らかにした。袴田さんの犯行着衣とされるシャツなど「5点の衣類」は事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクから見つかり、血痕の赤みが見て取れた。差し戻し審で弁護団は、みそ漬けの血痕が黒褐色化するメカニズムを示した鑑定書を新証拠として提出。5点の衣類は発見直前に捏造(ねつぞう)されたと指摘している。一方、東京高検は脱酸素剤や真空パックを用いた「みそ漬け実験」に基づき、赤みが残る可能性を主張している。
 弁護団によると、もう1人の法医学者も尋問で「長期間みそに漬かった血痕に赤みは残らない」と結論付けた弁護団の鑑定書を「言い過ぎではないか」と述べた。ただ、2人とも黒褐色化するメカニズムそのものについてはほぼ反論しなかったという。弁護団は、この日の証言を「みそタンク(内の環境)と検察官の実験条件を同じだとは言わなかった。『みそタンクの条件が分からないから弁護団の鑑定は言い過ぎだ』としながら、『検察官の実験からすれば赤みは残る可能性がある』と言うのは自己矛盾している」と反発した。
 5日には弁護側証人の化学者への尋問が行われる。

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