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スマホ・ネットの家庭内ルール どうしてる?③ ペアレンタルコントロール【賛否万論】

スマホのフィルタリング、こんな時に外しがち?
 前回、前々回の賛否万論では、子どもが家庭内でネット・スマホを利用するにあたり、フィルタリングを中心にしたペアレンタルコントロールの重要性が分かってきました。今回は、フィルタリングの具体的な内容や状況に応じた個別設定(カスタマイズ)の方法などを紹介します。
 (社会部・薬袋貴信)
フィルタリングは自律と他律
1日当たりの親のスマホ利用時間と子どもの利用時間の関係  子どもたちがインターネットやスマホと上手に付き合っていける環境をつくるために、保護者はどのような考え方をしたらよいのでしょうか。20年以上、地域の情報化支援に取り組むNPO法人「イーランチ」(焼津市)の松田直子理事長は「自律と他律」をキーワードに掲げます。低年齢時は、フィルタリングを含めたペアレンタルコントロールによる「他律」の力を借り、生活体験を通じて子どもが徐々に培う道徳心や判断力に基づき「自律」を促す-。幼少期は他律の比重が大きく、成長につれて自律が高まる反比例の構造が理想的で、保護者はその過程で手を貸しながら「親元を離れて生活をするタイミング」を区切りに見守り続けていくことが重要、と強調します。
 2018年からは、18歳未満の青少年が携帯端末を契約したり機種変更したりする際に、携帯電話事業者はフィルタリングを提供することが義務付けられました。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手3社はそれぞれ「あんしんフィルター」という共通名称を冠したアプリでフィルタリングサービスを提供し、店頭やWEBサイトで利用を呼びかけています。
 また、iPhone(アイフォーン)なら「スクリーンタイム」、アンドロイドなら「ファミリーリンク」といったスマホOS内に搭載されたアプリも多彩なフィルタリング機能を持っています。携帯会社や使用アプリによって初期設定はさまざまですが、いずれも無料で使用でき、子どもの学齢に応じて制限強度が変更できます。有害情報への接触を防ぐことに加え、使いすぎや使用時間のコントロール、GPSの位置情報を駆使した子どもの居場所確認にも有効です。
 携帯電話各社はこのほか、全国各地で使い方安全教室を行うなど啓発活動にも力を入れています。
 子どものスマホに対して保護者が管理者設定をすることで、自身のスマホやパソコンからいつでもその設定を変更することが可能です。「あんしんフィルター」の管理画面では、アクセスしたサイトや通話の履歴、検索した言葉などが確認できます。そして、子どもの利用状況や家庭内ルールに基づき、「連絡に必要なのでLINE(ライン)は許可しよう」「YouTubeは見られるようにしよう」とカスタマイズすることもできます。例えば、YouTubeの使用を許可したあと、自動再生設定をオフにしておけば、だらだらとした長時間利用を避けることにもつながります。保護者がカスタマイズのやり方を知っておくことで、実情にあった使い方が選べます。
 とはいえ、思春期を迎えた子どもとの向き合いは、子どものプライバシーの観点からも、保護者がどの程度関与できるかは悩ましい問題です。松田理事長は「まずは、子どもが使うスマホのアプリやオンラインゲームについて関心を持ちましょう。利用に適した年齢なのかは、ゲームのパッケージやアプリの入手画面に表記されている年齢区分(レーティング)で確認できます。また、ゲームの内容を動画などで見るなど、断片的にでも情報を持つことも大切です。内容を知ることで、『ここまでやったら終わろう』と提案でき、双方納得して終了する習慣にもつながりやすいです」と指摘します。
保護者の利用 乳幼児に影響か
フィルタリング 主な初期設定イメージ  保護者のスマホ利用時間が乳幼児の使用時間にも影響?-。NPO法人「イーランチ」が、2021年に全国の幼稚園・保育園児の保護者に取ったアンケートによると、乳児から6歳児の子どもを持つ保護者が1日2時間以上スマホを利用している場合、その子どもたちの23.3%が同じく2時間以上利用している実態が明らかになりました。
 利用目的の多くを占める動画視聴は、外出時や家事中に子どもを静かにさせるツールとして便利ですが、便利さゆえにスマホに“子守り”させることで、将来的な依存や視力低下につながるのではないかと心配になる人もいるかもしれません。同法人の松田理事長は「乳幼児期は、身体の成長とともに、情緒や思考力の土台を育む大切な時期。便利な手段に頼りすぎず、保護者もけじめをつけた使い方を実践することが重要」と警鐘を鳴らします。

家庭内ルールの決め方・守り方 アイデア集
 ◆1日の利用時間と、夜は何時まで使って良いかの目標を子ども自身に宣言させ、紙に書いて張り出す。
 ◆アラーム音、特定の音楽を鳴らすなど、ゲーム終了の合図を子ども自身に考えさせる。
 ◆家事を手伝った時間をポイント制にし、獲得したポイントでゲーム時間を増やすなど報酬制にする。
 ◆1日やらなかった分を翌日に繰り越せるなど利用時間を“貯金”できるシステムにする。
 ◆電子決済で知らぬ間に課金ができないよう、親が定額のプリペイドカードで渡す。カードの購入費は小遣いから天引き。
 ◆スマホの画面を白黒(グレースケール)にする。
 ◆友人にも使用時間がわかるように、LINEのステータスメッセージに「使用時間は午後9時まで」などと表記する。
 ◆充電器付近や、リビングのみなど家庭内のスマホ利用場所を制限。
 ◆家庭内のWi-Fi環境下でのみ使用可能にする。
 ◆ルールを守れた翌月に、時間無制限に使用して良い「開放日」を1日作る。

 次回は同じテーマでしずしんニュースキュレーターや読者の意見を紹介します

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