あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 静岡市

能登半島地震被災地 静岡県内技術系ボランティア走る 家財救出 生活再建に貢献

 能登半島地震の被災地に通い、住民の要望を受けて被災住宅から車やスマホ、家財を回収したり、家を補修したりする静岡県内の「技術系災害ボランティア」が生活再建に貢献している。一般の災害ボランティアが入れない傷んだ家でも安全を確保して活動。南海トラフ地震に備え、県内に技術系ボランティアを増やそうと講習も行っている。

倒壊住宅から住民の家財を回収する千代幸嗣さん=2月1日、石川県輪島市(本人提供)
倒壊住宅から住民の家財を回収する千代幸嗣さん=2月1日、石川県輪島市(本人提供)
「一般」と「技術系」の災害ボランティアの違い
「一般」と「技術系」の災害ボランティアの違い
倒壊住宅から住民の家財を回収する千代幸嗣さん=2月1日、石川県輪島市(本人提供)
「一般」と「技術系」の災害ボランティアの違い

 2月下旬、石川県輪島市の民家。車を覆っていたがれきを電動のこぎりで切り、車を“救出”すると、沈んだ表情だった住民男性に笑顔が戻った。「諦めていた車に乗れるなんて。皆さんはヒーローです」
 感謝されたのは静岡県の技術系災害ボランティアチーム「しぞ~か・まめっ隊」代表の自営業千代[せんだい]幸嗣さん(42)=静岡市葵区=。能登半島地震発生後に数日ずつ4回、他県のチームと協力して活動した。多くは自分一人で車で現地に行き車中泊する。
 一般の災害ボランティアは市町の災害ボランティアセンター(VC)に登録し、住民から要望を受けた仕事が割り振られる。民家で土砂の除去や家財の片付けなどを担うが、基本的に倒壊の危険性が低い場所に限られる。一方、技術系ボランティアは応急危険度判定が「要注意(黄)」「危険(赤)」の家にも安全を確保して入る。事情があって在宅避難を続ける住民のため、壊れた屋根や壁をブルーシートで覆ったりもする。
 千代さんが「まめっ隊」を結成したのは、2022年9月に県内を襲った台風15号がきっかけ。支援に訪れた県外の技術系ボランティアと共に活動して学んだことで県内にチームを作った。「静岡で災害が起きた時に自分で対処できるようになりたい。そのためにも現場を経験しておく必要がある」と語る。
 静岡市障害者協会職員で災害対応NPO「MFP」代表の松山文紀さん(51)も、珠洲市で他の技術系ボランティアチームと民家で家財や車の救出活動を行った。「過去に他県の災害では、住民が屋根にブルーシートを張ろうとして落ちて亡くなったケースもある。助かった命を失わせるようなことがあってはいけない」と活動の意義を訴える。
 (社会部・瀬畠義孝)

県内消防士ら人材育成へ講座開催  県内の消防士らでつくる技術系ボランティアチーム「DRT SHIZUOKA」も珠洲市で活動する。土木建設業関係者でつくる「DRT JAPAN」が2021年の熱海土石流災害の被災地で活動し、ボランティアで協力した富士市消防本部の小川洸平さん(34)が作った県内支部だ。
 DRTは重機を使った活動が特徴で、小川さんも2年前に運転資格を取得した。「南海トラフ地震では発生後72時間以内の人命救助が難しくなる。住民の手で要救助者を救えるよう各地に技術系ボランティアが必要」と訴える。県内に人材を育成しようと、「DRT SHIZUOKA」はチェーンソーの扱い方などを学ぶ講習会を開いている。
 沼津市社会福祉協議会も24日、サンウェルぬまづで「技術系災害ボランティアを知る講座」を開く。

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

静岡市の記事一覧

他の追っかけを読む