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テーマ : 静岡市

「事故物件」再生し販売 浜松、静岡に営業拠点 マークス不動産(東京)需要見込む

 マークス不動産(東京)は、孤独死や自殺などで心理的な瑕疵(かし)が生じた住宅など事故物件の取り扱い強化に向け、浜松、静岡両市に相次いで営業拠点を開設した。全国平均を上回る高齢化が進む静岡県では他の地方と比べて事故物件の相談が多いという。今後も売買双方に高い需要を見込み、葬儀会社とも連携しながら適正価格での取引を提案する。

マークス不動産が改装などを手がけた物件=2023年10月、大阪市(同社提供)
マークス不動産が改装などを手がけた物件=2023年10月、大阪市(同社提供)

 事故物件を扱う大手不動産業者はほとんどなく、流通市場に出回らず空き家として放置される例が珍しくない。物件を持て余し、やむを得ず安値で売却する所有者も多い。そこで同社は2019年、事故物件を「成仏不動産」として取り扱うビジネスに参入。買い取った物件に特殊清掃、供養、改装を施し、購入希望者に瑕疵を通告した上で販売している。これまで扱った事故物件の約6割が孤独死関連という。
 同社は県内拠点として22年12月に浜松支店(浜松市中央区)、23年10月に静岡支店(静岡市葵区)を構えた。両支店とも今年2月までに1カ月当たり20~30件の問い合わせを受け付け、他の地方拠点の水準を上回っている。
 遺族から故人宅について相談を受ける県内葬儀会社に仲介料を支払い、同社と遺族をつなぐ仕組みも整えた。マークス社の23年の売上高は20年比で約4倍。笹尾里枝静岡支店長は「孤独死などで空き家が増える中、付加価値を付けた事故物件の流通を活発にし、過疎化防止と地域創生に貢献していく」と話す。
 (経済部・駒木千尋)

 <メモ>総務省の人口推計によると、静岡県の22年10月の高齢化率は30・7%(全国平均29・0%)、後期高齢化率16・4%(同15・5%)で、いずれも全国平均を上回っている。県の調査では、静岡県の23年4月の高齢化率は30・4%、後期高齢化率16・5%で、いずれも過去最高を記録した。高齢化率は10市町で40%を超え、西伊豆町と川根本町は50%以上だった。

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