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テーマ : 伊東市

社説(9月11日)立民と維新 刷新へ地方議員増やせ

 野党第1党の立憲民主党と、それに次ぐ日本維新の会が執行体制を改めた。立民は役員にベテランを起用し、維新は新代表に馬場伸幸衆院議員を選出した。昨秋、今夏と続いた国政選挙の野党敗北は、与党との地力の差を改めて印象づけた。党基盤の安定には、地域に根を張り、支持を広げていくしかない。地方組織の強化こそ力を注ぐべきである。
 立民は幹事長に岡田克也元副総理らを配した新執行部を8月に発足させた。泉健太代表は続投し、民主党時代の「次の内閣」を再び設けて政権担当能力を見せていく意向だ。
 維新は結党以来初となる代表選を行った。創始者の橋下徹氏、松井一郎大阪市長らカリスマ的存在がけん引してきたこれまでの党運営とは、様相を異にする。馬場氏の手腕が注目される。
 国政選挙で続く野党の敗北は、選挙戦を支える地方組織が与党に比べて圧倒的に弱いことが背景にある。政党の理念や政策を浸透させるには、地域に根差す地方議員の存在が必要だ。来春に控える県議選をはじめとする統一地方選で、地方議員を増やせるかが党勢回復・拡大の鍵となる。
 7月の参院選静岡選挙区では立民、維新とも独自候補擁立も推薦もせず、存在感を示せなかった。静岡県内では民主党政権終幕以降、同党の流れをくむ野党の弱体化が進む。立民、国民民主の両党県連とも地方議員の数は十人前後にとどまり、支援の広がりが課題だ。冷え込んだ両党の関係が与党を利している現実も正面から受け止めねばならない。
 維新は衆院、参院とも議席を伸ばしたものの、関西以外では苦戦している。静岡県内の地方議員は伊東市議1人のみで、県内を束ねる県総支部も脆弱[ぜいじゃく]と言わざるを得ない。看板政策の「大阪都構想」が頓挫して以降、代わる強い政策は打ち出せておらず、憲法改正を含めて自民党との共通点も多い。大阪以外の地域でも有権者が共感できる新機軸を示す必要がある。
 野党には、与党がくみ取れない地方の視点や民意を政治に反映させる役割がある。立民、維新ともそれぞれ政治塾を主宰し、統一地方選に向け候補者を開拓している。「地方創生」など政権与党が掲げた政策が必ずしも成果を上げたと言えない中、現場の声を丁寧に拾い上げる人材を育成し、足場を固めていくことが大事だ。
 与野党の緊張関係を通して政策を磨くことが政治の質を高める。健全な野党の存在は議会制民主主義の根幹をなす。住民の利益につながる政治を国政、地方ともに進めなければならない。

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