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テーマ : 静岡市

J―クレジット、高まる関心 森林管理でCO2吸収、国が認証 林業者の新たな収入源期待

 森林経営の新たな収入源として、森林由来のJ-クレジットへの関心が広がっている。自治体や森林・林業関係者がクレジット創出に向けて動きを活発化させる中、カーボンニュートラルへの取り組みの一環で購入を検討する企業も増えている。林業関係者は「林業の環境保全機能に注目が集まることで、産業としての持続可能性が高まる」と期待を寄せる。

J―クレジット活用に向けた交流会で情報交換する参加者=2月下旬、静岡市内
J―クレジット活用に向けた交流会で情報交換する参加者=2月下旬、静岡市内


 J-クレジット制度は、森林管理によるCO2吸収量や省エネルギー設備の導入などよるCO2などの排出削減量をクレジットとして国が認証する制度。創出者にはコスト低減効果や売却益などの利点があり、購入者にはカーボンオフセットへの活用や環境貢献企業としてのPR効果もある。
 県内では本年度、森林由来のJ-クレジットの登録が7件完了する見込み。申請者は自治体や林業経営体のほか、コンサル企業が地元林業会社のクレジット創出を支援するケースもある。それぞれ来年度中に、売買が可能となるクレジット発行を目指す。
 こうした状況を受け、2月下旬に「森林由来のJ-クレジット活用に向けた交流会」(県主催、静岡新聞社・静岡放送後援)が静岡市で開かれた。自治体、林業関係者のほか、県内外の企業などから260人が参加。前半のセミナーで制度や取り組み事例の紹介を受けた後、販売側、購入側の双方がブースを構えて情報交換を重ねた。
 参加者からは「普段接することのないバイヤーの話が聞けてよかった」(林業)、「県内でもこれだけ創出の動きがあるので、具体的な取引をイメージしやすくなった」(自動車販売業)などの声が聞かれた。
 県も本年度、下田市の県営林を対象にJ-クレジットを登録申請した。この経験をベースに、認証にかかる費用の公的補助や申請手順について情報共有を進め、創出希望者の参入を後押しする。
 県森林計画課の吉永章人主査は「林業界には追い風と言える状況。今後、クレジットの販売実績が積み上がってくれば、林業整備の循環を支える基盤にもなり得る」と展望する。
 (経済部・垣内健吾)

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