戸籍広域交付、不安なスタート 準備間に合わず予定サービスの中止も 三島市など全国の一部自治体
1日の改正戸籍法施行に伴い始まった、本籍地以外の自治体でも戸籍証明書などを取得できる「広域交付」に関し、三島市など県内外の一部自治体で十分な準備が終わっていなかったことが同日までに分かった。予定していた行政サービスを縮小した自治体もある。法務省によると、各自治体が持つ戸籍の正本と同省が管理する副本の一致作業が間に合わなかったという。
同省によると、少なくとも全国の数十自治体から、1日までに作業を完了する見通しが立たないとの報告があった。県内の複数自治体からも相談が寄せられたという。三島市は窓口対応が十分できないと判断し、当初予定していた市民サービスコーナーや土曜日の取り扱いを当面中止すると同日公表した。
本来は法務省のシステムにアクセスして証明書の発行作業に移れるが、一致作業が未完了の自治体は、本籍地のある自治体に情報が正しいか直接問い合わせ、確認する必要がある。同省は2月26日付の通知で、戸籍証明書を発行する際には本籍地に確認する対応を指示した。
広域交付は副本を管理する同省の戸籍情報管理システムと各自治体のシステムを連携することで、これまで本籍地の自治体に請求しないと取得できなかった戸籍証明書などを全国どの自治体でも請求できる。各自治体で戸籍情報を確認できるため、婚姻届などを提出する場合に戸籍証明書の添付が原則不要となる。
(三島支局・岡田拓也)
システムトラブル 静岡市が受付停止 全国で1日に始まった戸籍証明書などの広域交付について、静岡市は同日、法務省のシステムトラブルが影響して接続しにくいとして、受け付けを停止したと発表した。市は復旧次第、市ホームページで公表する。
広域交付は、これまでは本籍地でしか取得できなかった戸籍証明書などを居住する役所などで取得できる仕組み。同市は同日午前8時半の業務開始に合わせ、葵、駿河、清水各区の区役所窓口で戸籍謄本などの広域交付を始めた。午前10時ごろからシステムへのアクセスに遅延が生じ、改善が見込めないことから午後1時ごろに受け付けを停止した。交付できなかった来庁者計18人は本籍地に郵便で請求することにしたという。
市戸籍管理課によると、法務省のシステムに全国の自治体からアクセスが集中したことが原因と考えられる。同省は2、3日に復旧作業を行い、4日の再開を目指しているという。