ヤングケアラー悩み話して 電話、LINEで相談窓口 静岡県設置
大人に代わって日常的に家事や家族の世話をするヤングケアラーについて、静岡県は21日、当事者向けの相談窓口を開設すると明らかにした。電話とLINE(ライン)で受け付け、潜在化が課題となっているヤングケアラーの早期発見や必要な支援につなげることを目指す。
同日に静岡市内で開いた県市町ヤングケアラー支援担当者会議で報告した。電話相談は「こども家庭110番」で受け付け、児童相談所の相談員が対応する。ラインは社会福祉士らが相談に応じる。
県が実施したヤングケアラー実態調査では、「気軽に相談できる場所がほしい」との要望が複数あり、深刻な状況に置かれている子どもたちをいち早くサポートする体制を整える。
ヤングケアラーを巡っては、ケアの相手や内容が多岐にわたり、教育や福祉など関係機関が連携したきめ細かい対応が不可欠となっている。県は希望する市町にコーディネーターを今秋から派遣し、支援体制の構築をアドバイスする。個別の支援事例をまとめたガイドブックも作成し、市町に配布する。
県が県内の小学5年から高校3年まで25万人超を対象に実施した調査では、家族のケアをしている児童生徒が全体の4・6%(22人に1人)に上り、このうち約4分の1が「学校生活に影響がある」と回答した。
■沖さん、当事者経験語る
21日の県市町ヤングケアラー支援担当者会議では、障害がある人の兄弟姉妹の自助グループ「静岡きょうだい会」の沖侑香里代表(32)=富士市=が「元ヤングケアラーとして伝えたいこと」と題して講演し、切れ目のない支援の必要性を訴えた。
6歳の頃から障害のある妹の見守りや介助を行い、ケアが当たり前の日常だったという沖さん。当時を振り返り「将来、自分の夢を諦めることがあるかもしれない」「進学で実家を離れてもいいのか」といった不安や悩みを抱えていたと話した。
ヤングケアラーの支援について「本人だけをサポートすればいいわけではなく、全世代のケアラーの人権をどう守っていくかという視点に立ち返る必要がある」と指摘し、正しい理解と適切なサポートが進むことを期待した。