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伊豆半島沖地震 教訓つなぎ50年 「次世代へ」南伊豆で最後の慰霊祭

 南伊豆町で30人が死亡した伊豆半島沖地震から50年の節目を迎えた9日、甚大な被害を受けた同町中木地区の中木記念公園で慰霊祭が執り行われた。遺族や関係者約100人が参列し大災害の凄惨(せいさん)さと教訓を胸に刻んだ。慰霊祭は今回で終了する。

遺族を代表し、慰霊碑の前であいさつする萩原作之さん。伊豆半島沖地震の教訓が「近い将来の大災害の参考になってほしい」とも訴えた=9日午前8時55分ごろ、南伊豆町の中木記念公園
遺族を代表し、慰霊碑の前であいさつする萩原作之さん。伊豆半島沖地震の教訓が「近い将来の大災害の参考になってほしい」とも訴えた=9日午前8時55分ごろ、南伊豆町の中木記念公園

 同地区では城畑山が崩壊し、27人が土砂の犠牲となった。参列者は発生時刻の午前8時33分のサイレンに合わせ黙とうをささげ、慰霊碑に献花した。
 遺族を代表し、萩原作之さん(79)があいさつした。自身も発災直後に消防団としていち早く現場に駆けつけた。まだ2歳だった息子の清之ちゃんは、作之さんの父清次さんに抱かれた状態で見つかり、「泣いていた妻(洋子さん)の姿は一生忘れられない。住民の遺体が見つかる度、皆が言い表せない悲しみに包まれた」と言葉を紡いだ。その上で「(慰霊祭は終わるが)50年にわたり遺族に寄り添っていただき、感謝でいっぱい」と述べた。
 町や地元自治会によると、発災から満49年目の2023年に50回忌の法要を終え、慰霊祭は今春を節目とした。遺族の逝去が相次ぎ、高齢化が顕著な点も要因。昨春までは自治会主催だったが、今春は節目を考慮し町も共催した。岡部克仁町長は「遺族の思いを子供たちに継承するのがわれわれの役目」と述べた。
 地震は1974年5月9日、石廊崎沖でマグニチュード(M)6・9の規模で発生した。

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