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市町議4割超が高齢男性 静岡県内、性別・世代「バランス」遠く【NEXTラボ×統一地方選】

 女性議員を増やすため、政党や自治体に立候補や議員活動の環境整備に向けた取り組み強化を促した「政治分野の男女共同参画推進法」の改正から1年半余り。静岡新聞社は4月の統一地方選を前に、県議会と県内市町議会に所属する全議員の性別と年齢を調べ、分布図を作成した。

35市町議員655人の分布(上)と静岡県民の人口分布
35市町議員655人の分布(上)と静岡県民の人口分布

 調査は2022年12月末時点。市町議会の総計は、全議員655人のうち65歳以上の男性が287人と44%に上り、性別年齢とも大きな偏りが見られた。女性は全ての年代を合わせても16%に過ぎなかった。県議会は、67人のうち55~64歳男性が36%(24人)と最多で、最高齢は80歳(2人)、女性は13%(9人)だった。
 市町ごとにみると、静岡市議は30~70代に満遍なく分布している一方、女性は6%で男性への偏りが大きい。逆に伊豆の国市は女性比率が35%と県内市町で最も高いものの、全議員の71%が65~74歳と年齢構成には偏りが見られた。
 下田、熱海市と南伊豆、松崎、河津町の5市町には女性議員がいない。中でも南伊豆町は、全議員の年齢の中央値が74歳と県内の議会で最も高かった。
 静岡大の井柳美紀教授(政治学)は「議員個人の能力の有無と、性別や年齢は関係ない」と前置きした上で、「議会は多様な住民の意見や利害を反映させ、調整する場。多様な背景を持つ議員の参画は、議会が本来の役割を果たすために重要だ」と指摘する。

 目で見る 県・市町議会の多様性
 国が政治分野への女性参画を推進する中、県議会と県内市町議会の女性議員の割合は2割にも満たない。静岡新聞社が作成した各議会所属議員の性別、年代分布図では、22議会で65歳以上が5割以上を占め、10議会で44歳以下がゼロと、年齢においても多様性に乏しい姿が見えた。

※分布図一覧(PDF)はこちらからダウンロードできます。  
 

 

 なり手不足、制度改革待ったなし
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  静岡大・井柳美紀教授(政治学)の話
 地方議会は居住地域を代表して立候補するケースが多く、女性や移住者は立候補しにくい。加えて、人口減少や高齢化が顕著で議員報酬が少ない地域は「なり手不足」も深刻だ。こうした地域ほど女性と若者が少ない。兼業規制の緩和など、大胆な制度改革が待ったなしの時期に来ている。

 分布図から現状を理解し、多様な人材が立候補する重要性を社会全体で共有したい。都市部を含め女性と若い世代の参画を促すには、土日夜間の会合を減らすなど議員の働き方を変えていく必要がある。職業としての魅力ややりがいを啓発し、なりたいと思う人を増やしていくことも大切だ。

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