車道でポーズ、中央分離帯で撮影… 富士・富士山夢の大橋 突然の観光地化 マナー違反苦慮

 富士市蓼原にある国道139号の「富士山夢の大橋」が、SNS映えする富士山写真のスポットとして人気を集め、連日多くの外国人観光客が詰めかけている。一方で、車道の横断や路上駐車といったマナー違反が周辺住民を悩ませている。対策として国土交通省や市が近く、駐車場15台分を確保し、中央分離帯に進入防止用フェンスを設けることが20日、関係者への取材で分かった。

写真撮影に没頭する観光客ら=18日午前10時20分ごろ、富士市蓼原の富士山夢の大橋(写真の一部を加工しています)
写真撮影に没頭する観光客ら=18日午前10時20分ごろ、富士市蓼原の富士山夢の大橋(写真の一部を加工しています)

 夢の大橋の階段は画角を工夫すると、富士山まで階段で上っているような写真を撮ることができる。階段を上がった先からは、裾野に広がる市街地も一望できる。昨冬ごろから海外インフルエンサーの発信を機に評判が広まり、訪日客の人気スポットになった。
 ごく普通の住宅地だった場所に観光客が殺到し、周辺住民の生活が脅かされている。生活道路に駐車した車両が住民の通行を妨げるほか、商業施設には観光バスが立ち入る。橋では良い構図を狙って、立ち入り禁止の中央分離帯に居座ったり、車道でポーズをとったりする姿が見られる。トイレを使いたいと押しかけられた民家もあり、地元・藤間区の松本政利区長(76)は「無法地帯と化している。平穏な日々が失われた」と憤る。
 橋にはすでに「駐車・ポイ捨て禁止」と多言語で書かれた看板が設置された。近隣住民はごみを拾いながら注意する。富士署もパトカーで巡回するが、過ぎ去れば観光客は撮影を続け、改善には至っていない。
 早急な対応が必要として、関係者を集めた会合が20日までに開かれた。中央分離帯には人の身長を超えるフェンスを設置する予定。橋の下には15台分の駐車場を確保し、仮設トイレの設置も検討するという。
 富士市は5月上旬の定例記者会見で、夢の大橋を観光スポットとして活用する方針を示し、村松岳典交流観光課長は「住民の理解を得られるようにハード面を整える」とした。松本区長は「突然の事態だからこそ整備を急いでほしい。住民レベルの対応では手に負えない状態になっている」と早急な対応を求めた。

 

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