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浜岡原発戦略にも影響、中部電力「進展に期待」 政府、運転期間の延長検討

 政府が24日に打ち出した最長60年としてきた原発の運転期間の延長検討は、浜岡原発(御前崎市佐倉)を巡る中部電力の経営戦略にも影響を与えそうだ。特に、28日で運転開始から丸35年を迎える3号機は、現行制度下では残り5年で廃炉に追い込まれる可能性が指摘されていた。制度の見直しが実現すれば、中電にとっては足元の新規制基準適合性確認審査の対応に時間的な余裕が生まれる。

中部電力浜岡原発。政府が検討する原発の運転期間延長は、3号機(手前)などの審査対応に影響を与えそうだ=5月7日、御前崎市佐倉(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
中部電力浜岡原発。政府が検討する原発の運転期間延長は、3号機(手前)などの審査対応に影響を与えそうだ=5月7日、御前崎市佐倉(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)

 東京電力福島第1原発事故後、原子炉等規制法で定められた現行の原発運転期間は原則40年。原子力規制委員会が認めれば、1回に限って20年以内の延長ができる。規制委は延長認可に当たり、新規制基準審査の合格を条件に位置付けている。
 浜岡原発では3号機と、来年9月で運転開始30年となる4号機が新規制基準審査を受けている。最初の審査申請から8年半が経過したものの、地震や津波の想定、敷地内の活断層の有無を巡る評価が固まっておらず、合格への道筋は描けていない。3号機は中電や地元関係者が“タイムリミット”を強く意識する段階に来ていた。
 制度の見直しには、原子炉等規制法の改正が絡むことも予想される。政府の担当者は厳格な規制による安全確保を大前提に「さまざまな可能性を議論していく」と説明し、年末までに具体論を取りまとめる考えを示す。
 政府が原発の新増設やリプレース(建て替え)を進める姿勢に転換することで、宙に浮いたままの6号機計画の行方にも改めて注目が集まる。ただ、中電は当面、新規制基準審査の対応や運転期間延長をにらんだ安全面の地元理解の活動に重点を置くとみられる。
 中電の広報担当者は今回の政府方針について「原子力発電の活用に向けた重要な論点が幅広く示されたと認識している。事業環境整備、官民の役割分担を含めてしっかりと検討が進展することを期待している」と強調。「早期再稼働を含め、緊張感を持って取り組む」とも述べた。

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