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テーマ : 静岡市

映画「水平線」 東北被災地の「今」リアルに 小林且弥監督、ピエール瀧(静岡市出身)出演

 「水平線」は東日本大震災で妻を失った男を主人公に被災地の「現在」をリアルに浮かび上がらせる。俳優の小林且弥の初監督作で、震災を扱ったテレビドラマへの出演を機に現地との交流が生まれ「知り合った人々の声や姿を映画として残したかった」と言う。

「(愛する者の)『喪失』と『不在』も大きなテーマだった」と言う小林且弥監督(右)とピエール瀧=東京都渋谷区
「(愛する者の)『喪失』と『不在』も大きなテーマだった」と言う小林且弥監督(右)とピエール瀧=東京都渋谷区
現代社会の闇もあぶり出す「水平線」の一場面
現代社会の闇もあぶり出す「水平線」の一場面
「(愛する者の)『喪失』と『不在』も大きなテーマだった」と言う小林且弥監督(右)とピエール瀧=東京都渋谷区
現代社会の闇もあぶり出す「水平線」の一場面


 震災で妻を亡くし、福島の港町で散骨業を営む真吾(ピエール瀧=静岡市出身)の元に、あるいわく付きの遺骨が持ち込まれる。散骨すべきか否かを巡り、真吾は理不尽なバッシングを受けることに…。映画は今もなお震災の影を背負う真吾や娘の奈生を軸に、多彩な人物が織り成す人間模様を描き出す。
 発想のきっかけは「マスメディアに(かわいそうな人たちと)カテゴライズされた被災者の姿」への違和感だった。「実際はいろいろな前の向き方をされているのに、そうした取り上げられ方は一切ない」。安易なレッテル張りが横行する現代社会への問題提起を盛り込みつつ、「当たり前の暮らし」を取り戻そうとする被災地の人々の日々に焦点を当てた。
 「(単純な)答えを付与するような作品にはしたくなかった」と小林監督。真吾役の瀧も「何が正解か?」を自問しながら演じたと心境を吐露する。「(散骨について)最後に真吾さんが下す決断の理由も、演じている僕自身が明確に分からない部分があった。でも、それでいい。僕らは日々迷いながら生きていて、それは福島の人々も同じ。それを映像で表現できただけでも意味があるのかなと思います」
 撮影は福島県相馬市と南相馬市でのオールロケ。小林監督が撮りたかったという「人の様[さま]」と共に、福島の今を映す情景ショットも見どころの一つだ。

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