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餅つき交流、父から受け継ぎ30年 静岡市の松村さん宅 4年ぶり再開

 年の瀬が押し迫る30日、静岡市駿河区大谷の松村皐月さん(81)宅で地域住民を集めた年末恒例の餅つきが4年ぶりに開かれた。新型コロナウイルス禍の一時は親族のみだったが、5類に移行して初の年末に「全力再開」。皐月さんの父・久吉さん(故人)の思いが詰まった75年前の臼や杵(きね)を使い、親族と地域住民で威勢良くかけ声を響かせた。

父から受け継ぐ臼を使い、地域住民や親族で餅をつく松村皐月さん=30日午前、静岡市駿河区
父から受け継ぐ臼を使い、地域住民や親族で餅をつく松村皐月さん=30日午前、静岡市駿河区

 臼と杵は戦時中に旧厚生省職員で中国・北京に派遣されていた久吉さんが戦後に帰国し、家を建てた75年前に購入したもの。「父は自分の建てた家に近所の人を呼んで餅をつくのが生きがいだった」と皐月さん。大谷の洋光台団地に新居を構えた1989年、父に倣って餅つきを始め、30年以上続く恒例行事となった。「父の背中を見て、自然と自分も受け継いでいた」と振り返る。
 「よいしょー、よいしょー。ラスト10回」。親族や近隣住民ら約30人が続々と集まり、釜で炊き上げたもち米を杵でついた。当初から参加する近隣住民は「これがないと始まらない」「親子2代3代と交流が続いている」と笑顔を浮かべた。皐月さんは「顔を合わせてワイワイ餅をつくのは楽しい」と目を細める。
 離れて暮らす孫の大学生なのかさん(21)=東京都=は「おじいちゃんが大事にした地域の縁はどこに行っても大切にしたい」と語り、赤池康太君(11)=富士宮市=は「今度は僕が受け継ぐ」と言い切った。皐月さんは「父も今、見ているだろう。息子や孫もちゃんとやっているから安心してと伝えたい」と青空を見上げた。
 (社会部・吉田史弥)

 

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