テーマ : 富士宮市

記者コラム「清流」 決意表明

 春の光に包まれた菜の花や桜の花霞(がすみ)、その背後に雪化粧した富士山が浮かぶ1枚の写真―。そんなのどかな潤井川沿いの景色の中にたたずんでいた家が、ある日突然、報道カメラのフラッシュを浴び、物々しさに包まれた。
 富士宮市の病院で70代の男が妻と娘を刺して自分も命を絶った事件。男と幼なじみだったという男性が見せてくれた写真が忘れられない。毎日のように男と一緒にけん玉やソフトボールで遊んだ思い出話を聞かせてくれた男性。写真に目を伏せ、寂しげにぽつりとつぶやいた。「来年も桜は美しく見えるだろうか」
 突然の悲劇は、当事者ではない男性の心や大切にしていた思い出にも傷を残した。事件が当事者以外にさまざまな影を落とすのだとしたら、かすかな影も見落とさない記者でありたい。

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