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テーマ : 静岡市

男女平等指数経済分野 静岡県42位 国保祥子准教授(県立大経営情報学部)に聞く【国際女性デー2024】

 8日の国際女性デーに合わせ公表された2024年の「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」で、静岡県の経済分野の順位は42位だった。22年は45位、23年は全国最下位の47位と、3年連続で40位台に低迷する。ジェンダー平等に経営戦略として取り組む県内企業を連載「しずおか企業探訪 経営とD&I」で紹介する県立大経営情報学部の国保祥子准教授に、本県の課題を聞いた。

都道府県版ジェンダー・ギャップ指数 静岡県の指標別順位と指数
都道府県版ジェンダー・ギャップ指数 静岡県の指標別順位と指数
静岡県企業の課題について語る国保祥子准教授=静岡市駿河区の県立大
静岡県企業の課題について語る国保祥子准教授=静岡市駿河区の県立大
都道府県版ジェンダー・ギャップ指数 静岡県の指標別順位と指数
静岡県企業の課題について語る国保祥子准教授=静岡市駿河区の県立大


 -順位や各指標を見た感想は。
 「全体の結果から、各都道府県で、女性の地位や社会的役割がどう捉えられているかが透けて見える。静岡県の結果は、学生や若年女性が果たしてここで働きたいと思えるのかと危機感を抱く内容だ。首都圏の大企業では既に、子育てしながら働き続けられる環境があるのが標準。その上で、どうキャリアアップをして、組織に貢献してもらえるかを施策として考える段階に入っている。だが、静岡県では規模にかかわらず『育児との両立支援ができていればいい』といった意識にとどまっている企業が少なくない」
 -特に気になる指標は。
 「『フルタイムの仕事に就く男女間の賃金格差』に注目している。この格差の大きな原因は、女性の管理職が増えず、収入も増えていかないこと。男性がたくさん稼ぎ、女性は稼げないと『女性は家事・育児をしていた方がいい』といった家庭の性別役割分担意識の固定化にもつながる」
 -県内は製造業が多い産業構造のため、女性がキャリアアップしにくい、との指摘がある。
 「現状はそうかもしれないが、製造業でもどんどん女性の技術者を増やせばいい。連載で取材した興津螺旋[らせん](静岡市清水区)などは女性技術者を増やしたことで、業績に好影響が出ている。女性が事務職だけに就いている限り管理職は狭き門で、年収は上がらない。技術職や営業職など利益を生み出す部門に、女性がもっと増えるべきと考える」
 -どうしたら技術職や営業職に女性が増えるか。
 「女性側もやりたいと思ったら、会社にしっかりと意思を伝えることが大事。それによって企業側も初めて、挑戦したいと考えている女性がいることに気がつく。意思表示をする女性がある程度いれば、実績ができ、後に続く後輩たちも育ちやすくなる」
 -企業側が努力すべきことは。
 「県内では中小企業を中心に、組織マネジメントや経営管理に関する基礎知識を持った中間管理職が少ないと感じている。ビジネススクールなどでの学びが有効だ。女性が活躍している企業は、管理能力が高い管理職がいるという点で共通している。企業は性別などの属性に関係なく、個人の能力がどこにあり、どうすればパフォーマンスが最大化するのかをもっと考えていくべきだ。そのために課題があるのなら、課題を解決するための対策をとってほしい。企業にとってジェンダー平等は、目的ではなく、自社が成長するための手段だ」
 (聞き手=生活報道部・大滝麻衣)

 こくぼ・あきこ 経営学博士、専門は組織マネジメント。企業や官公庁の組織開発プログラムを手がける「ワークシフト研究所」所長。

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