あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 静岡市

清水区PFAS問題 血液から全国平均20倍の濃度検出 10年以上前退職の元従業員

 有機フッ素化合物(PFAS)を使用している静岡市清水区三保の化学工場従業員の血液から高濃度のPFASが検出された問題で、10年以上前に退職し今はPFASを扱っていない70代の元男性従業員からも国の全国調査平均値の20倍以上の濃度のPFOA(PFASの一種)が検出されたことが1日、分かった。極めて分解されにくいため「永遠の化学物質」とも呼ばれるPFOAが、長年にわたり扱わなくなってもなお、元従業員らの体内にとどまり続ける実態が初めて明らかになった。

全国調査の平均値の20倍以上のPFOAが血液から検出されたことを示す「試験検査報告書」(写真の一部を加工しています)
全国調査の平均値の20倍以上のPFOAが血液から検出されたことを示す「試験検査報告書」(写真の一部を加工しています)

 運営会社の三井・ケマーズフロロプロダクツが退職した元従業員に昨年12月中旬に呼びかけて実施した血液検査の結果が、男性の自宅に届いた。
 男性からは、血漿(けっしょう)1ミリリットル当たり40数ナノグラムのPFOAが検出された。男性は在職当時、PFOAを使って「テフロン」と呼ばれたフッ素樹脂を製造していて、「(当時親会社だった米国の)デュポンが安全と言うのだから、大丈夫だろうと思っていた」と話した。同工場では現在は製造・輸入が禁止されているPFOAを2013年まで使用していた。
 元同僚の中には手袋をせずに素手でPFOAを扱う人もいた。製造部門の元同僚は同20数ナノグラムが検出された。一方で、現場以外の研究部門にいた別の元同僚は1桁台だったという。男性は内科系の疾患があるが因果関係は不明。
 PFOAを巡っては世界保健機関(WHO)が昨年12月、発がん性に関する評価を2段階引き上げた。環境省が22年度に行った日本人89人を対象にした全国調査では、平均値は同2・0ナノグラム。米国の学術団体が健康にリスクがあるとしているのは、同20ナノグラムで、男性は米国の指標に比べても2倍以上高い。
 京都大大学院医学研究科の原田浩二准教授(環境衛生学)は「PFOAの半減期は3年ほどのため、退職当時は1ミリリットル当たり数百ナノグラム以上の血中濃度だったと推測される。工場運営会社は元従業員を含めた健康フォローアップと、退職した元従業員がかかっている病気との因果関係の調査を行うべき」と述べた。

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

静岡市の記事一覧

他の追っかけを読む