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医師確保へDX、奨学金【静岡県知事選 候補者Q&A③医療対策 静岡の現在地】

 静岡県民の命を守る医師の不足が続いている。県内の人口10万人当たりの医師数は全国平均を下回り、地域偏在も課題だ。こうした問題に対応するため、元浜松市長の鈴木康友氏(66)=立憲民主党、国民民主党推薦=と元副知事の大村慎一氏(60)=自民党推薦=は、県が取り組む医学生向け奨学金制度の拡充や医療分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む考えを示した。共産党県委員長の森大介氏(55)=同党公認=は「根本的な解決は国の政策を変えるしかない」と訴え、主張の違いが鮮明になった。
 森氏は「国が医師を減らそうとし、県内への医科大学新設を認めなかった」と国の医療政策そのものに疑問を呈する。地方間で医師を取り合ってもその場しのぎに過ぎないとして、国の政策を変えるよう求めた。県独自の奨学金制度の拡充などは進めるとしている。
 鈴木氏は、医師不足対策について「地域によって不足割合や不足する診療科目が異なる」と指摘し、医療圏内で病院、診療所間の役割分担や連携を強化するとした。公立病院などを中心に研修医の受け入れ制度を拡充し、医師の獲得を目指す方針も示した。
 大村氏は、医療DXに取り組み「高度医療を提供する機会の拡大を目指す」とした。県内唯一の医科大である浜松医科大(浜松市)との連携強化が不可欠とし、「医師少数地域にトップクラスの医科大地域枠の学生を配置する体制を整備する」と強調した。
 政治団体「個人の尊厳党」代表の横山正文氏(56)は地域への医師派遣について「居住移転の自由とも重なる問題で、軽々には論じられない」と回答した。
 コンサルティング会社社長の浜中都己氏(62)は「先進医療を推進する大学・研究機関を核として構築し、全県の医療レベルを底上げする」と明記した。

 Q 医師の地域偏在や不足が課題となる県内の現状をどのように解決しますか。

 
 森氏

 国が医師を増やさず、減らそうとし、県内への医科大学の新設を認めなかった。この責任は重大。地方間で医師を取り合っても、その場しのぎに過ぎない。根本的な解決は、国の政策を変えさせるしかない。同時に、県独自の奨学金制度の拡充など待ったなしの医師確保対策は進める。

 鈴木氏
 地域によって不足割合や不足する診療科目が異なるので、県の医療圏域の中で病院間や診療所間の役割分担や連携を強化する。医学修学資金制度をさらに充実させるとともに、公立病院などを中心に、研修医の受け入れ制度を拡充させ、医師の獲得を目指す。また、医療のDX化を進め、医療資源の効率的な運用に取り組む。

 大村氏
 医療DXに取り組み、地方でも先端医療を受けられる病院間の能力と情報の平準化、高度医療提供の機会拡大を目指し、医師の偏在対策を推進する。浜松医科大学との連携強化は欠かせない。若手医師の定着化を支援し、医師が少数の地域にトップクラスの医科大地域枠の学生を配置する体制を整備。総合診療医の育成にも力を入れる。

 上の回答一覧は政党の公認、推薦を受けた3候補を届け出順に並べた。村上猛氏は回答なし。

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