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リニア静岡県専門部会 静岡県内ボーリング認める「リスク管理適切」

 リニア中央新幹線トンネル工事に伴う水資源への影響を議論する静岡県有識者会議の地質構造・水資源専門部会の会合が13日、県庁で開かれた。JR東海が、山梨県から県境を越えて静岡県側でも実施する計画の高速長尺先進ボーリングについて、専門部会が「科学的な観点からリスク管理ができている」として実施を認めた。JRの最初の計画説明から1年7カ月が経過し、県内のトンネル工事の前提となるボーリング実施を巡る議論が大きく前進した。

JR東海の高速長尺先進ボーリングについて見解を述べる森貴志副知事(右)=13日午後、県庁
JR東海の高速長尺先進ボーリングについて見解を述べる森貴志副知事(右)=13日午後、県庁

 県は大井川流域の市町や利水団体で構成する大井川利水関係協議会の意向や、県生物多様性専門部会の意見を確認した上で、最終的に実施を判断するとした。森貴志副知事は「なるべく速やかに意向確認したい」と述べた。
 JRは、大井川上流域にある田代ダム(静岡市葵区)が設備改良工事のため2025年11月まで取水停止する期間を利用し、ボーリングを実施すると説明した。取水停止に伴う流量増加分がボーリング湧水量より多いことを定期的に計測するとし、湧水量がこれを上回った場合や、観測地点のスリバチ沢の流量が減少した場合にはボーリングの中止を含めて専門部会に相談するとした。
 森下祐一部会長(静岡大客員教授)は会合後の取材に「水の戻し方が難しい問題だった」と述べ、流域市町の首長が田代ダムの取水停止期間中であれば、ボーリング湧水返還の方策を求めないとする考えを表明したことが議論の突破口になったと明かした。ボーリングに慎重な姿勢を示していた川勝平太前知事が9日で辞職した影響については「全くない」とした。
 JRは山梨県で23年2月にボーリングを開始し、機材の保守、点検のためとして静岡県境まで459メートル地点で同年10月から休止している。丹羽俊介社長が7日に行った山梨県の長崎幸太郎知事との会談で、20日に再開する考えを伝えていた。
 (政治部・尾原崇也)

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