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掛川のバス自動運転実験 AIカメラで顔認証 静岡県、試験導入

 静岡県は5日、掛川市で始めた自動運転バスの実証実験で、人工知能(AI)を活用した顔認証システムを試験導入した。バス停に取り付けたカメラで事前予約した利用者の本人確認を行い、乗降時の利便性向上につなげる。将来的にキャッシュレス決済と連携させることも視野に入れ、顔認証の精度を検証する。11日まで。

バス停に取り付けたカメラで顔認証を体験する掛川工業高の生徒=5日午後、JR掛川駅北口
バス停に取り付けたカメラで顔認証を体験する掛川工業高の生徒=5日午後、JR掛川駅北口


 バスが運行するJR掛川駅北口と掛川城三の丸広場にAIカメラを搭載した「見守るバス停」を設置した。実験には掛川工業高の生徒約10人がモニターとして協力する。
 生徒はあらかじめ正面や横、斜め上などから撮影した十数枚の写真を登録。バス停のカメラに顔を近づけると、写真のデータと照合され、スムーズに認証された。体験した2年の加藤翔大さん(16)は「思っていたより時間がかからなかった。公共交通機関で導入されれば利用したい」と話した。
 顔認証が実用化されれば乗務員が不在でもバスを乗降でき、所持金を持たない「顔パス」による決済が可能になる。県は引き続き検証を進め、このほかの自動運転区間への導入可能性を探る。
 システム開発はソフトバンクなどの企業が担った。バス停周辺の人流解析、気温や湿度、熱中症指数も計測する。同社担当者は「将来的には防犯や子どもたちの見守りなど安全・安心なまちづくりの土台になれば」と期待した。
 自動運転バス向けに信号機の色が変わるタイミングを伝える実験も始めた。信号機に取り付けた通信機からバスと遠隔コントロールセンターに信号情報を発信する。これまでの実験では赤から青に切り替わった際に乗務員がボタンを押す必要があったが、作業が不要になり、無人運転に近づくという。
 県の実証実験は運転手が同乗し、状況に応じて手動運転に切り替える「レベル2」の走行を実施中。「2024年度の自動運転移動サービスの実現を目指す」(建設政策課)としている。
 (政治部・森田憲吾)

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