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SNS投稿、ブログから自動生成 舘山寺の魅力発信 静大、県大グループがアプリ開発

 静岡大と県立大の共同研究グループは、舘山寺温泉観光協会(浜松市西区)の情報発信を支援しようと、ブログの記事から、SNSのX(旧ツイッター)、インスタグラム、フェイスブックに投稿する内容を生成AI(人工知能)で一斉につくるウェブアプリを開発した。アプリ改善のための試験運用を10月にスタート。企画・設計担当の静大情報学部4年の伊藤咲耶さん(22)は「舘山寺の魅力を手軽に投稿できる環境を整えたい」と話す。

生成AIを搭載したウェブアプリを確認する(左から)太田昌弘事務局長、伊藤咲耶さん、鍋田真一さん=20日、浜松市西区の舘山寺温泉観光協会
生成AIを搭載したウェブアプリを確認する(左から)太田昌弘事務局長、伊藤咲耶さん、鍋田真一さん=20日、浜松市西区の舘山寺温泉観光協会
ウェブアプリで作成した投稿を紹介する伊藤咲耶さん(右)と鍋田真一さん=20日午後、浜松市西区の舘山寺温泉観光協会
ウェブアプリで作成した投稿を紹介する伊藤咲耶さん(右)と鍋田真一さん=20日午後、浜松市西区の舘山寺温泉観光協会
生成AIを搭載したウェブアプリを確認する(左から)太田昌弘事務局長、伊藤咲耶さん、鍋田真一さん=20日、浜松市西区の舘山寺温泉観光協会
ウェブアプリで作成した投稿を紹介する伊藤咲耶さん(右)と鍋田真一さん=20日午後、浜松市西区の舘山寺温泉観光協会

 ブログ向けに書いた観光情報をアプリに入力すると、数分で各SNSの発信に合った文字数に変換する仕組み。「家族向け」「シニア向け」「一人旅向け」などに文章表現を設定できるほか、絵文字やハッシュタグ(検索目印)も自動で盛り込む。
 観光マップを紹介する記事から、「浜名湖への小旅行はいかがですか。日帰り温泉もおすすめです!」と提案する内容を生成。毎冬恒例の「牡蠣(カキ)カバ丼」の販売が地元飲食店で始まったことを伝える記事からは「ご家族みんなで浜名湖を訪れて、ご堪能ください」と呼びかける投稿をつくった。 photo03 ウェブアプリで生成した内容を投稿したインスタグラムの画面

 生成AIは間違った情報を生み出すことがあるため、ブログを基にすることでリスクを低減した。投稿前に、確認や修正をして誤情報の発信を防ぐ手順にした。アプリデザインは県立大大学院で学ぶ鍋田真一さん(33)が担当し、「パソコン操作に慣れていない人でも直感的に分かるようにした」と話す。
 観光協会の太田昌弘事務局長(67)は各SNSの経験はほとんどなかったが、10分程度で記事の変換から三つのSNSの発信までを終えられたという。観光客が団体から個人にシフトする中、個人客に届くSNSの活用は課題だったといい「人手をかけずに発信できる。舘山寺の魅力を多くの人に届けたい」と喜ぶ。
 両大の研究グループが取り組む生成AIを、地元観光業界の課題解決に役立てたいと伊藤さんが企画して6月から本格的に研究を始めた。外国語への変換機能を加えられる可能性もあり、伊藤さんは「将来的には協会に加盟する人にも使ってもらえるよう発展させられれば」と意気込む。
 (浜松総局・白本俊樹)

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