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ぐいぐいやる気を起こす「ニューイヤーオノマトペ」

新年にこそ使いたいニューイヤーオノマトペについて、オノマトペ研究家で朝日大学教授の藤野良孝さんに、「鉄崎幹人のWASABI」パーソナリティの鉄崎幹人、SBSアナウンサーの山﨑加奈がお話をうかがいました。藤野さんは、日々の暮らしの中で使われるさまざまなオノマトペの使用実態と、その効果について多角的に研究されています。
※1月19日にSBSラジオ「鉄崎幹人のWASABI」で放送したものを編集しています。

ニューイヤーオノマトペとは

鉄崎:改めてオノマトペについて教えてください。

藤野:オノマトペは擬音語と擬態語の総称です。フランス語のオノマトペ(onomatopée )が語源で大元は古代ギリシア語にまで遡り、名前を作ること、造語することという意味があったと小学館の日本語オノマトペ辞典で解説されています。その辞典には、4,500語のオノマトペが収録されています。

例を挙げると、擬音語は「ワンワン」「ドンドン」「ザーザー」といった動物の鳴き声や物体、物理的な音を例えて表現したもの。擬態語は「キラキラ」「シーン」「ドキドキ」など実際には音のしない状態や心情の様子を音に例えて表現したものになります。

私がオノマトペを好きな理由は、自身の感情面に大きな作用をもたらす言葉だからです。例えば新年会に誘われた場合、「飲みに行こう」と言われるよりも「パーッと飲みに行こう」と言われた方が気分が高まりますよね。これはパーッと明るい気持ちにさせる破裂音がお酒を飲む行為を楽しいものに変えてくれるからなんです。疲れたときも鏡の前で「にーっこり」と口角をあげることで、ポジティブな気持ちになります。感情をプラスに変えてくれる、そんなオノマトペが大好きなんです。

山﨑:その中でもニューイヤーオノマトペとはどんなものですか。

藤野:新しいスタートを切るのにふさわしい、気持ちを元気にするオノマトペです。

例えば、「ダー」「ター」「ヤー」が挙げられます。これは、スポーツ選手がここ一番のときに出す気合を入れる言葉なんです。声を出すことによってアドリナリンが分泌され、心拍数や血圧を上げて集中モードにしてくれます。そうするとポジティブなスイッチがオンになります。

鉄崎:砲丸投げ、円盤投げの選手も声を出さずに投げろと言われたら記録は落ちるだろうね。声って大事なんですね。

藤野:「新年頑張るぞ」とプラスなエネルギーが、声を出すことで高まり、勢いが出てぐんぐん自己成長できると思います。

藤野先生が選ぶ「ニューイヤーオノマトペ」ベスト3!

第3位「うきうき」

藤野:今年は卯年なのでニューイヤーオノマトペは「う」からはじまるオノマトペでいこうと思います。

新年の目標達成に必要なのは「やる気」と「楽しさ」です。新たな目標に向かって気合をいれているリスナーさんにおすすめなのが「うきシミュ」です。オノマトペを使いながら、目標達成に必要な行動をうきうき楽しい気持ちでシミュレーションするという意味です。

具体例を挙げると「私は静岡放送に着いたら、楽屋へサッと入り、衣装にパパっと着替えて、鏡の前でニッコリ表情を確認する。準備ができたらターッと気合を入れて、スタスタと打ち合わせ室に入り、ディレクターとサクサク打ち合わせを済ませる。収録本番はスラスラと話して会話をドーンと盛り上げる」という形です。

鉄崎:先生うまいなぁ。確かに一連の行動のモチベーションがあがるみたいです。

藤野:脳科学者の篠原菊紀先生が仕事や勉強をする前にオノマトペを使って行動をシミュレーションするとやる気を起こす脳の線条体が活性化すると報告しています。自分の目標に向かって具体的な行動を日々頭の中で楽しくリアルに描くことで自分のやる気をぐいぐいあげることができるんです。

第2位「ウッハッハ」

藤野:新年早々の悩みの代表例として、正月太りが挙げられます。私もお腹がパンパンになるまで食べてしまい2キロ太りました。鏡で太った自分をみるとがっくりしてしまいますが、そんなときに役立つオノマトペが「ウッハッハ」なんです。

やり方は簡単でWASABIを聴いたりお笑い番組を観たりしたときに、「ウッハッハ」と大きな声で笑うだけでOKです。

アメリカの大学の研究で静かにテレビを見るより、声を出して笑いながらテレビを見るほうが消費カロリーが20%アップすると出ています。笑うことでナチュラルキラー細胞が活性化され、ストレスホルモンのコルチゾールが下がることもわかっているんです。「ウッハッハ」と笑うことで心がほぐれますし、太ったことも引きずらずポジティブに新年のスタートを切れますよ。

第1位「うんうん」

藤野:新年は何事も前向きにスタートを切ることが大切ですがそれが実は難しい。人が1日に思考する内、8割がネガティブな思考と言われています。心の中で発する自分の言葉が、考え方や行動を形成するので、できるだけネガティブな思考を抑えたほうがいいです。そしてそんなネガティブな感情に蓋をするオノマトペが「うんうん」なんです。例えば「富士山に登ろう・うんうん」、「オーロラを見よう・うんうん」といった感じです。「うんうん」と頷きながら行うセルフトークが、躊躇しそうな背中を押してくれます。もし「うんうん」を入れない場合、「富士山に登ろう・でも時間がない」、「オーロラを見よう・どうせ一瞬だから行かない」などと、うっかりネガディブ思考になる可能性があるので「うんうん」で蓋をしちゃうんです。

鉄崎さんはリスナーの皆さんからいろいろと相談があるかと思いますが、そんなときは「うんうん」と気持ちを込めて返してあげてください。否定をしないことで「相手は私の話を聞いてくれている」「共感してくれている」「理解してくれている」と肯定的な気持ちで心がふわーっと明るくなるんです。積極的傾聴というテクニックはカウンセラーも使っていて、人の心を掴むポイントになると思います。

WASABIパーソナリティの2人に使ってほしいオノマトペ

藤野:まずは鉄崎さん。趣味は森歩きということで歩きに有効な「スタスタ」というオノマトペを選びました。このオノマトペを言いながら歩くと姿勢が良くなって足も軽快に歩けます。

若者から高齢者の方を対象に「スタスタ」と言いながら歩く実験では、多くの方がオノマトペを言いながら歩くほうが楽になるといったポジティブな感想が得られました。

次に山﨑さんは趣味がゴルフということでしたので、飛距離を出すのに効果的な「スーッ・ガーー」というオノマトペを選びました。

バックスイングのときに「スーッ」、打音からボールが飛び終えるまでの間に「ガーー」と叫ぶだけです。

実験でアマチュアの3人の飛距離が平均10ヤード伸びたと報告されています。「スーッ」の音がスピードを喚起し、「長音(ー)」でタイミングを調整できます。そして「ガーー」と言う濁音は力強さを喚起します。ボールが飛び終えるまで声を出し続けることによって生理的なリミッターがハズレて、大きな力を出すのに役立つんです。

鉄崎:声が体を引っ張っていく感じですね。

子どもや大人の脳トレにもぴったりな1冊


山﨑:もっと気になるという方はぜひ、去年高橋書店より出された「心と脳がぐんぐん育つ!わくわくおんどく」という本をぜひお手にとってみてください。音読するだけで「表現力」「想像力」「記憶力」「伝える力」「やる気」の5つの力が ぐーんとアップします! わくわくする音が満載で、いずれもオノマトペ研究家 藤野先生のお墨付き! 子どもの脳を活性化させるだけでなく、大人の脳トレにも最適な1冊です。

鉄崎:最後に、リスナーのみなさんにメッセージをお願いします!

藤野:新年の幕開け、皆さまにたくさんの福が訪れるようにオノマトペでお祝いします。

「ふくふくぴょーん」

ポジティブに飛躍していけるそんな素晴らしい年になりますように、いや絶対になりますよ。

鉄崎・山﨑:藤野先生ありがとうございました〜。

今回お話をうかがったのは……藤野良孝さん
オノマトペ研究者。博士(学術)。絵本専門士。
朝日大学教授。早稲田大学オープンカレッジ講師。スポーツ、ビジネス、料理、子育て、絵本、日常生活などで使われるさまざまなオノマトペの使用実態とその効果について多角的に研究している。著書に『毎日の生活が楽しくなる「声の魔法」1巻~3巻』(くもん出版)など多数。

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