LIFEライフ

SBSラジオ IPPO

語学は絶対「耳」から学ぶ!カタカナ英語では、英会話が成立しないワケ

最新の英語学習法とは?

最新の英語学習法について、イマージョン教育やバイリンガル教育を通して英語教育を全国で進めてきた、静岡聖光学院(静岡市駿河区)の英語教諭、西山哲郎先生にSBSアナウンサー牧野克彦がお話をうかがいました。
※1月25日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。
西山先生
牧野:実は私、数カ月前に西山先生の授業を見学させてもらったんです。子どもたちが本当に楽しんでいる様子で、でも、一番楽しんでいるのは先生!みたいな印象を受けました。

西山:私がもともと海外ドラマが好きで、カリフォルニアのカルチャーに憧れ、英語が大好きで教員になったので、教員である私が楽しむ姿を見せれば、子どもたちも共鳴してくれると思っています。そして実際に私自身、授業を楽しみに教室に足を運んでいます。

牧野:今日は最新の英語学習法について教えていただきたいと思います。これはいい!というおすすめの学習法はありますか?

フォニックスという学習法

西山:英語は音楽と同じで、耳から入れるということが大事です。本校の中1と中2にはフォニックスという音と文字を一致させていく勉強法を行なっています。児童英語の分野では当たり前にやっていることなんですが、まず音を入れて、それから文字を一致させてスペルを入れていきます。

耳から音を入れることで、まずインプット量も増えます! 日本の英語教育の問題点は、カタカナ英語だということ。カタカナで英語を覚えてしまうと、ネイティブが発音するものと異なるので聞き取れないんです。なので最初からネイティブのフォニックス、音を入れていくことが大事だと思っています。

牧野:フォニックスの教材で始める方がいいんですか?

西山:そうですね! フォニックス教材はいろんな会社から出ています。どこの会社のものでもいいと思いますよ。

画期的な発音の確認方法⁉

牧野:西山先生は中国語も学ばれていますが、その発音が正しいかどうかの確認の仕方が画期的なんですよね。

西山:はい、私はアルクの「キクタン」という教材を使っているんですが、毎朝起きたら、キクタンのアプリで音を再生して聞くようにしています。聞いて、発音を練習して録音し、中国語の先生に送ります。それに対して先生からだめ出しが来るので、また繰り返し練習して、OKが出たら次のページに進む。毎日10例文くらいチェックしてもらっています。

具体的には、アプリで音声を聞いてから発音練習するときにiPhoneのメモ帳のアプリを開きます。中国語入力ができる設定に切り替えて、マイクボタンを押すと私の声が入るんですが、ここがポイント! 正確な発音をすると正しく書き起こされるのですが、発音が間違っていると間違った文字が出てくるので、その段階でやり直し! 同じ要領で英語もできますので、クラスでやってみたんですけどすごくよかったです。

牧野:今、GoogleやiPhoneの音声入力はかなり正確になっていますよね! 音声をちゃんと言葉に変えてくれる! メモ帳をこのように語学学習に使っている人ってまだまだ少ないんじゃないですか?おもしろい使い方ですね!

西山:ぜひ試していただきたいです。自分の発音が違う文字になって入力されると結構ショックなものです。

牧野:冷酷にも正確に判定してくれるわけですね(笑)。

好きなテーマで語彙を増やす

牧野:語学学習において、語彙を増やすのも大事だと思うんですが、どのように増やせばいいですか?

西山:語彙や文法学習も語学学習の重要な要素です。語彙や文法がわからないとブロークンな英語になってしまうからです。そして、語彙や文法においても、音を重視した学習方法がおすすめです。単語は綴りだけで成立しているのではなく、音とスペルが一致してこそはじめて覚えることもできますし、使うこともできるからです。

例えば、朝起きたら歯磨きしたり着替えたりするときにPodcastをつけて、英語の環境にしておくというのもおすすめです。

牧野:強制的に英語の環境にしてしまうわけですね! 私が最近やっているのは音声SNSのClubhouse。まだやってるのか?なんて周りから言われたりしますけど、外国人ばかりのルームに入るのはすごく楽しいです。

西山:自分を外国語の環境に入れてしまうことも大事です。意味がわからなければいけないので、今夢中になっていることの動画、私の場合はサーフィン動画を見たりします。拡張語彙というのですが、一つの状況に紐づいた周辺の語彙を集中して学んでいくというのは効果的な学習法です。その際にも「楽しむ」ということは重要ですよ!

牧野:好きなテーマをまず見つけて、実用的な英語を身につけていく! 結果、それが続きやすいということになるんですね。

西山:語学って「モチベーション」と「継続」と「正しい学習法」の三本柱だと思うんです。

牧野:なるほどモチベーションと継続と正しい学習法! 次はこのテーマでいきましょう!

語学を学んで外に目を向けよう

西山:先日、大学生の中国語のスピーチを聞く機会がありました。私は「英語が話せれば世界が広がる」と常々言ってきているのですが、大阪の大学生が中国語を勉強している姿に胸を打たれまして。彼らは中国語を勉強しだして5年目なんですが、私が思っていた以上に流暢なんです。

私は英語ができますが、中国語で彼らのレベルに追いついたとき、さらに世界が広がるんだと考えたらわくわくしてきました。彼らがどこで就職するのかわかりませんが、中国語だけではなく英語、フランス語ができるという人もいますので、自分の才能をどこで価値づけするか、これから選びたい放題なんです。語学は武器になりますから、彼らの未来は明るいと思いました!

牧野:語学を学ぶことで選択肢がすごく広がるわけですね。

西山:私も半年後には中国語のネイティブ講座を受ける予定なのですが、不安よりもわくわくしています。英語ができるようになって世界が広がったように、今度は中国語ができるようになる。大学の時にスペイン語も勉強していましたので、英語、中国語、スペイン語、あとはフランス語ができれば、世界中どことでもつながれるかもしれません(笑)。

コロナで外に出て行き辛くなっているけれど、新しい言語を学ぶことでその言語の能力を高めるだけではなく、その文化を学ぶことも必要だと思います。恥ずかしながら、私は中国語を学ぶまで中国の文化をあまり知りませんでした。それが中国語を学ぶことで中国の文化を知りたいと思うようになりました。語学を学ぶことによって、外に目を向けられるようになるんです。語学能力を高めるためではなく、外に目を向けるためにどんな語学でもいいので学んでほしいです。

牧野:語学ってあくまでもツールなので、そこから紐づいて文化が入ってくると、自分の中で化学変化が起こって面白いことになっていきそうですよね。まだまだ話を聞きたいところですが……、西山先生ありがとうございました!
 
今回お話をうかがったのは……西山哲郎先生
静岡聖光学院、英語教諭。前任校、大阪府の香里ヌヴェール学院小学校では41歳にして校長を務める。香里ヌヴェール学院小学校では全授業の6割を英語化するなど、日本の子どもたちの持つ可能性を最大化すべく英語改革を行ってきた。2021年春から聖光学院に赴任し、「偏差値教育にとらわれない、体験を重視する英語教育」をモットーに中学一年生から英語脳を作り上げる、多読を学ばせるなど、従来の英語教育とは一線を画した授業を行っている。

 

SBSラジオIPPO(月~金曜:朝7:00~9:00)忙しい朝を迎えているアナタに最新ニュースはもちろん、今さら人には聞けない情報をコンパクトに紹介!今日の自分をちょっとだけアップデート!番組公式サイトX(旧Twitter)もぜひチェックを!
radikoでSBSラジオを聴く>

あなたにおすすめの記事

RANKING