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人をつないでWIN×4 !? 事業開拓&顧客満足度UPを実現!!「つながり創造室」とは? 株式会社平出章商店 /浜松

カメラマンの望月やすこさんが取材中に出合った、身近にあるけど「へ〜〜」な求人情報を紹介する企画「こんな求人見つけてきました」。今回は浜松市東区の「株式会社平出章(ひらいであきら)商店」をご紹介いただきました。(写真はすべて株式会社平出章商店提供)

創業者の思いをつなぐ「つながり創造室」

望月:今回は、浜松市東区にある株式会社平出章(ひらいであきら)商店を紹介します。浜松市を中心とした製菓材料や製パン材料、製菓機械の専門商社で、県内のケーキ屋さんやパン屋さんに、小麦粉、バター、ナッツやジャムなどの材料や機械を卸す問屋さんです。その会社の「つながり創造室」という部署が面白いなと思い、今回取材してきました。

創業は1949年。創業者の平出章さんが、満州から引き揚げた後、立ち上げた会社です。薬剤師だった章さんは、添加物が扱えたことから当時、砂糖や小麦粉が手に入らず困っていたお店のためにサッカリン(人工甘味料)を販売。甘いものに飢えていた町の人たちに喜ばれました。その後、「生地を膨らませるための材料がないか」など、色々なことを頼まれるようになったことが、今の会社の前身となりました。

その後、製菓材料の卸売りを本格的に始め、現在の3代目社長平出慎一郎氏が会社を引き継ぎました。慎一郎社長は4年前の創業70年の節目に、改めて「社の魅力」や「大切にすべきキーワード」について考えたそうです。

松下:そうなんですね。

望月:生産者やメーカーから商品を仕入れて小売店へ販売する卸業者は、オリジナリティーを出すのが困難です。差別化が難しい中、「わが社の特技、特徴は何か?」と考えたときに、「そうだ!わが社は創業当初から生産者と販売者をつなぎ、お客様の困りごとを解決してきたじゃないか」と気が付き、「つなげること」を会社の軸にすることを決めました。そうして生まれたのが「つながり創造室」というわけです。

松下:原点回帰したということですね。

望月:そういうことです。

皆が幸せになるSDGsの考え方を実行

つながり創造室の泰澤友和さん(左)とレモン農家さん(右)

望月:具体的に何をやっているかというと、例えば「浜松レモン 4ミリ角ミンス」(レモンの皮を4ミリ角に刻んだもの)の販売です。ある日、泰澤さんが浜松市内の農家を回っていた時に、レモン農家から「果汁を絞った後に残る皮がもったいない。冷凍してあるんだけど何かに使えないか?」と相談を受けました。早速、大手の製菓会社に相談したところ、見事「レモンケーキ」用に使ってもらえることになりました。そしてこの製菓会社が全国でも超有名な会社だったため、レモン農家1軒分ではレモンの量が足りないという事態となり、市内の4軒の生産者とJAとぴあ浜松に直接打診して、規格外品を出荷してもらうことになりました。さらに、それまで捨てていた形の悪いレモンをそのまま購入するので皮をむく加工が必要になり、加工の委託先として考えたのが「障がい者 就労 訓練施設」でした。

松下:あ〜なるほど!

望月:施設側には、できることとできないことがあって難題は多かったのですが、「つながり創造室」と協力し合って1つずつ解決し、たくさんのスキルを新たに身に付けて仕事の幅が広がったそうです。ちなみに、繁忙期の忙しくて手が回らない時期のために、平出章商店がレモンを冷凍保存し、施設の仕事が薄くなる時期の5月から2~3カ月かけてゆっくり仕事を出すことにしているそうです。そして今では、「浜松レモン 4ミリ角ミンス」は、平出章商店の人気定番商品になっているんです。すごくないですか?

「つながり創造室」が間に入ることで、生産者の所得が上がり、食品ロスは減り、障害者のやりがい作りと所得アップ、そして商品自体の付加価値も上がったんです。まさに皆が幸せになるSDGsですよね。

松下:これはWIN×4ぐらいですね!

望月:あまり知られていませんが、実は浜松はグレープフルーツの出荷量が日本一なんです。

松下:へぇ〜、そうなんですか。

望月:生産量が多いのはいいことですが、レモンと同様に規格外品が出てしまうことが難点です。ここでも「つながり創造室」が活躍して、生産者と県外のゼリー会社をつなぎ、商品化を実現しました。最初は販売先が無くて困っていた規格外のグレープフルーツが、今では引く手あまたの大人気材料になっています。

ほかにも色々なことをやっています。例えば、パティシエ経験のある営業スタッフがケーキ屋さんにトレンドを活かした商品開発の提案をしたり、店の間取り図を見ながら動線の提案をしたり、予算に合わせて機械課のスタッフが中古機械を探すこともあるそう。直営小売店「HIRAIDE ホームメードストア」では、テストキッチンでオーブンやミキサーなど試作機を設置し、開業前に焼き加減のテストや急速冷凍の状態などを試せる仕組みも作っています。さらに、どこに出せばいいのか分からない栄養成分の計算もやってくれます。

取引先だけではなく、社員にも向き合うことを大切にしています。3年前から「魅力アップ制度」を導入し、1対1の面談を頻繁にやっています。「面談って気が重い」という人が多いと思いますが、何度もやっていると逆に慣れてきて、小さなグチや失敗の話も出てくるようになるんだそう。お互いの距離が近くなり、仕事のやる気につながっているそうです。

そんな株式会社平出章商店 は求人を募集中です。スタッフは、パートも入れて50人。新卒の営業職、中途採用は、配送と倉庫管理を行う正社員を募集しています。

松下:株式会社平出章商店への連絡は、電話番号053-423-1147です。やすこさん、ありがとうございました。

※2023年9月1日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

<DATA>
■ 株式会社平出章商店
住所:静岡県浜松市東区中里町611-1
TEL:053-423-1147
 会社情報
今回、お話をうかがったのは……望月やすこさん
静岡県内を中心に個人の撮影や取材撮影をするフリーカメラマン。撮影歴は20年以上。「人を笑顔にする撮影」と「面白いネタ探し」を得意とする。著書「子連れのタダビバ」シリーズ(静岡新聞社)では執筆も担当。ラジオ・テレビの出演など様々なメディアで活躍。公式ホームページ「フォーシーズン 望月やすこ」、インスタグラムもチェック。

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