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テーマ : 新商品・新技術

「みかんワイン」伊豆特産キープ JA合併で廃止危機一転、御殿場高原ワインが事業承継

 4月の静岡県東部8JAの大合併に伴い、事業廃止の方針が示されていた伊豆地域の特産「伊豆みかんワイン」が消滅の危機を脱した。時之栖グループの御殿場高原ワイン(御殿場市)が関係者の声に背中を押され、事業者の旧JA伊豆太陽の子会社から引き継いだ。門倉栄社長(49)は「ミカンのワインは全国的にも珍しい。地域に根差した商品を守り続けたい」と言葉に力を込める。

御殿場高原ワインが事業を継承し、製造する伊豆みかんワイン=20日、御殿場市
御殿場高原ワインが事業を継承し、製造する伊豆みかんワイン=20日、御殿場市

 県内産の温州ミカンが原料で、フルーティーな味わいが特長の甘口と、酸味を感じられる辛口の2種類。オレンジの輸入自由化により需要が減った温州ミカンの活用法を模索し、同JAと東伊豆町、県の共同開発で1989年に発売された。
 みかんワインは合併を機に撤退の方向だった。門倉社長は1月、取引のある問屋から生産を継続できないかと持ち掛けられた。早速訪ねた同町の工場で「柔らかな表情」(門倉社長)で生産に励む従業員の姿を目にし、役場職員から「特産品をなくしたくない」と愛着の言葉を聞いた。地域ブランド商品を強化する戦略にも合致し、事業承継を決めた。
 近年の出荷量はピークだった約20年前の3分の1ほど。伊豆半島中心の販路を県内全域に広げ、再浮上を図る。伊豆東海岸特産のニューサマーオレンジのリキュール製造も引き継ぎ、炭酸アルコール飲料「ハードセルツァー」を開発中。御殿場産ブドウのワインで成功した経験を持つ門倉社長は「地域性を出し、良い商品を作れば売れる」と可能性に期待する。
 20日に、事業承継後、初めてワインを出荷した。御殿場高原ワイン東伊豆製造所の工場長を務める安藤秀之さん(53)は「多くの方の応援があったからこそ継承できた。思いに応えられるよう、良いワインを作る」と気を引き締める。

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