テーマ : ものづくり最前線

油不要で使える鉄板 松和製作所(長泉町)【静岡ものづくり最前線】

 金型部品製造で使用する加工技術を活用し、油をひかなくても食材がくっつかない鉄板を開発した。表面を覆うフッ素樹脂加工と違い、表面に細かな凹凸をつけてサメ肌状にし、食材の貼りつきを防いだ。

表面に細かな凹凸をつけた「サメ肌ザラザラ鉄板」
表面に細かな凹凸をつけた「サメ肌ザラザラ鉄板」

 新型コロナウイルスの影響で、大手メーカーの製造が停止。受注が落ち込む中、松田和彦社長が趣味のバーベキューで使う鉄板づくりに挑戦した。金型の内側にしわ模様の凹凸をつけ、鋳造した製品の貼りつきを防ぐ方法をヒントに試作。鉄板でも貼りつき防止に効果があると確かめた。
 加工には、複雑な形の製品を製造する際、高電流を流したグラファイトで鉄の表面を溶かしながら加工する技術を使用。表面がザラザラになる特性を生かした。試行錯誤を繰り返して溝の深さを調整し、実用新案も取得した。
 厚みをもたせた鉄板による蓄熱の効果もあり、焼き上がりは上々。柔らかく仕上がり、バーベキュー仲間からは「炭火よりもふっくら焼ける」と好評だ。肉の余分な脂も溝に落ち、ヘルシーさも売りにする。
 フッ素樹脂のように高熱でコーティングがはがれて性能が落ちないのが特徴。熱源はこんろや炭火などにこだわらず、コロナ禍を機に高まったキャンプブームに期待する。鉄製品のためさび止め防止の手入れが必要となり、キャンプ道具にこだわる玄人がターゲット。松田社長は「使えば使うほど味わいが出る。自分好みに育ててもらい、楽しんでほしい」と話す。

 企業情報 長泉町下土狩337の8、1973年創業。従業員3人。

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