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不戦、平和の大切さ改めて 終戦77年 静岡県内各地で追悼

 終戦から77年となった15日、県内各地で追悼式典が行われた。家族を失った悲しみを抱えて参列した遺族は、ロシアのウクライナ侵攻や台湾を巡る情勢が緊迫化していることなどを踏まえ、戦争の不毛さと平和の大切さを訴えた。強い日差しが照りつける中、参列者たちは「人間の尊厳が無視される戦争を二度と繰り返さない」との思いを強くした。

戦没者を悼み、不戦への誓いを新たにした式典=15日午前、静岡市駿河区
戦没者を悼み、不戦への誓いを新たにした式典=15日午前、静岡市駿河区
戦没者を悼み、平和への誓いを新たにした浜松市戦没者追悼平和祈念式=15日午後、同市中区のアクトシティ浜松
戦没者を悼み、平和への誓いを新たにした浜松市戦没者追悼平和祈念式=15日午後、同市中区のアクトシティ浜松
戦没者を悼み、献花する参列者=15日午前、沼津市民文化センター
戦没者を悼み、献花する参列者=15日午前、沼津市民文化センター
戦没者を悼み、不戦への誓いを新たにした式典=15日午前、静岡市駿河区
戦没者を悼み、平和への誓いを新たにした浜松市戦没者追悼平和祈念式=15日午後、同市中区のアクトシティ浜松
戦没者を悼み、献花する参列者=15日午前、沼津市民文化センター

 静岡市主催の式典で追悼の辞を述べた市静岡遺族会監事の為貝宏邦さん(79)。父超禅(ちょうぜん)さんはパプアニューギニアで戦死した。空爆で被弾し破片が体に刺さった。十分な手当てを受けられず息を引き取ったという。当時、宏邦さんは1歳。「戦争遺児の多くは父の胸のぬくもりすら知ることができなかった」と語り、「世界ではいまだに人間の尊厳を無視した行為が行われている」とやりきれない思いを口にした。
 「叱られたり、会社に弁当を届けたりした」。同市駿河区の中川琉美子さん(83)は父春一さんとのわずかな思い出をたどった。ビルマ(現ミャンマー)で戦死。缶詰会社の仕事でビルマに渡ったはずだったが、現地召集された。戻ってきたのは死亡通知の白い紙1枚だった。中川さんはいまだに、戦争の映像は直視できない。「それでも私たちの経験を若い人に語り継がなければならない」と決意を新たにする。
 式典では不安定さを増す国際情勢に触れる遺族も多かった。浜松市戦災遺族会長代行の森下結城子さん(59)は「この日を迎えるたびに悲惨な戦争を二度と繰り返さないと誓ってきたが、残念なことにロシアによるウクライナへの武力侵攻があった」と憤り、「どんな理由からの戦争も許すわけにはいかない」と言葉に力を込めた。
 3歳の時にフィリピンで父が戦死した沼津市遺族会の杉山茂会長(80)もウクライナの惨状に心を痛める。「9割が戦争を知らない世代となり、記憶を風化させないことが大切。戦争の悲惨さ、人の命の大切さを訴え続けたい」と誓った。

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