敏感過ぎるのは「性格」ではない?実は5人に1人の割合でいるHSCとは?
田村淳さんも公表、「HSP」、「HSC」とは?
今回はHSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)と子供の不登校の関係性について、HSP活動家でアーティスト活動もされている有以子さんに「鉄崎幹人のWASABI」パーソナリティの鉄崎幹人とSBSアナウンサー山﨑加奈がお話をうかがいました。山﨑:HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)について知っていますか? 「感受性が極めて強く、敏感な気質を持った人」のことで、5人に1人の割合でいるそうです。昨年、お笑い芸人の田村淳さんが公表したり、HSP専門カウンセラーが書いた「繊細さんの本」がベストセラーになったりしたので、聞いたことがあるよ!という人も多いかもしれません。今回はHSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)について学んでいきます。
鉄崎:まずはHSPについて、説明をお願いします!
有以子:HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)、アメリカの神経学者エレイン・N・アーロン博士が提唱した生まれつきの神経系の特徴で、アーロン博士によると、HSPは以下の4つの気質がすべて当てはまると言われています。
1.深く処理をする
2.過剰に刺激を受けやすい
3.全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高い
4.ささいな刺激を感知する
物事に対し、HSPでない人の100〜1000倍くらい、アンテナ感度が高い受け取り方をする、人一倍敏感な気質をもった人です。これは生まれつきの特性であって、性格ではありません。5人に1人の割合でいるということです。
ではHSCってなに?
有以子:ハイリー・センシティブ・チャイルドの略で、繊細な子どもということです。大人も子どももなく、同じように5人に1人の割合でいます。鉄崎:HSPとは違うのですか?
有以子:呼び方が違うだけで同じです。ただ、子どもならではの課題があり、不登校と紐づけられて語られることが多いです。「HSC=不登校」というわけではありませんが、どうしても学校という、繊細な人にとっては予測不可能で刺激がすごく多い環境では、出てきがちな問題です。
山﨑:有以子さんのお子さんもHSCだそうですね。
有以子:はい、10歳で小4なんですが、小学2年生のときに学校に行けなくなってしまいました。ランドセルをしょって学校へ行くつもりなんだけど、玄関で足が前に進まなくて、泣いてしまうことがありました。最初はなんで学校へ行かないんだろうと、行かせようとする対応をしてしまっていました。
でもテコでも動かないような状態が続きまして、そのうち保健室登校をやってみたりしながら、だんだん学校から遠のいてしまいました。それから言語化できる年齢になってきたので、そのときにあったことを話すようになったのですが、いろいろなエピソードがつもりにつもって、安心を感じられなくなったというところが大きいんじゃないかと思います。
鉄崎:何か具体的な大きなことがあったわけではなく、いろんな小さなことがつもりにつもって学校へ行けなくなった感じですか?
有以子:象徴的なことでいうと、先生が大きな声で全体を叱る場面があったとします。例えば、掃除していない子がいたら、グループ全体を叱る。そのときに、本人が衝撃を受けてしまい、自分は頑張っていたのに......、でも言葉に出ない。理不尽な思いが大きかったんじゃないかと思います。
鉄崎:これは難しい、先生側も難しいと思います。やっぱり子育てをしていて親御さんでは、自分の子どもにもそういったところが気になるという人もいらっしゃるかもしれません。
HSCは診断できる?
有以子:そうですね。HSPのテストと似ているのですが、HSCの診断テストは親が子どもを見て感じた印象をチェックしていきます。例えば、「完璧主義なところがある」「静かな遊びが好き」「痛みにとても敏感」「質問をやまのようにぶつけてくる」など、親目線の項目になっています。鉄崎:僕もちょっと読みましたが、「優れたユーモアのセンスがある」「直観力が優れているように思える」とか、これって芸術家肌というか、アーティスティックな面にも繋がって、プラスになる部分もあるなと思いました。
有以子:おっしゃる通りだと思います。結局、刺激を受けやすいという言い方もできるけど、深く読み取る力がもともと備わっていると考えると、人間関係のなかで、その子が吸収しているものや見える世界は独特で、それを外に発信していくときに、とりわけアーティスティックな要素が魅力を帯びてくるのは、私も見ていて思います。
鉄崎:感受性が強いのは、いいことでもありますよね。普通の人は気づかない部分でそれを美しいと思うとか。素晴らしいアーティスティック性だと思います。
有以子:課題は、その子がいかに安心して才能を発揮できるか、環境、理解を深めることができれば、というところだと思います。
鉄崎:そういう道に、親は乗せてあげたいなと思いますよね。
有以子:親御さんの理解があればそれが一番だと思います。
子供のHSC、親としてどのように見ていってあげたらいいの?
有以子:たとえば不登校でも、過敏性をみたとき、親御さんは最初ショックを受けたりびっくりしてしまうことが多いと思います。なので、そういうことがあっても、親御さんご自身が、大丈夫だと安心してほしいです。HSCには聡明な子が多くて、ものごとをしっかり見れている子ばっかりだと思います。なので、その子がSOSを出してきたら、それ以上何もすることがない、それは絶対だと理解して受け止めてあげる姿勢でいることをおすすめします。鉄崎:もちろん、日本の協調精神や社会性も大事だけど、それだけのために、その子が持っている個性を消してしまうのは、あまりにもかわいそうだしもったいないと思います。繰り返しになりますけど、親御さんが上手に導いてあげてほしいですね。
有以子:そうですね。協調性といえば、正解を求めたり、協調性を持とうと頑張る子どもの方が多いので、真面目が過ぎて、決して協調性がないわけではありません。
鉄崎:少なくとも押しつぶすようなことはしてほしくないですね。せっかく持っているいいものを、伸ばすことが大事ですね。HSCについて、もう少し詳しく知りたいよ!という人はどうしたらいいですか?
有以子:私のホームページがあります。「パクチーワールド」の名前で団体を運営しているので、「パクチーワールド HSC」で検索していただくと、先ほどのチェックリストなども載っています。ぜひご活用ください。
鉄崎:パクチーワールドだけで調べると、タイ料理の店にヒットしそうです(笑)。ちゃんと「パクチーワールド HSC」で検索してみてください!
今回お話をうかがったのは……有以子さん
早稲田大学第二文学部表現芸術系卒。4年半タイに滞在し、ジャズボーカリストとして活動。小学生3人の母。子育てを通じ2019年よりHSPを深く学びはじめる。現在は「パクチー有以子」の名前で「歌・絵」「教育」「心」をテーマに活動中。HSPの心をつづった動画作品「繊細なアヒルの子」はHSP提唱者アーロン博士のもとにも届けられた。
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