腸内細菌と便の関係
今回は「腸内細菌と便の関係」というテーマで、腸内細菌の研究をしているAuB(オーブ)株式会社 取締役兼研究統括責任者の冨士川 凛太郎さんに「鉄崎幹人のWASABI」パーソナリティの鉄崎幹人とSBSアナウンサー大槻有沙がお話をうかがいました。
※12月14日にSBSラジオ「鉄崎幹人のWASABI」で放送したものを編集しています。
AuB(オーブ)ってどんな会社ですか?
鉄崎:最近は腸内環境を整える腸活なんて言葉もありますよね。まずは冨士川さんが勤められているAuB(オーブ)株式会社について教えて下さい!
冨士川:AuBは静岡市清水区出身でサッカー元日本代表の鈴木啓太が代表を務めている会社で、主にアスリートの腸内細菌を研究し、その研究データを基に製品開発などを行っています。
鉄崎:つまりアスリートの腸内細菌……便を研究しているんですね? どのように研究は進められるんですか?
冨士川:これまで総勢750人以上のアスリートから便をいただきまして、一般の人との腸内細菌の違いだとか、体格、競技の特性、体質と腸内細菌にどのような関係があるのか調べてきました。
そもそも腸内細菌とは?
大槻:おもしろそうですね!腸内細菌を調べると、どういうことが分かるんですか?
冨士川:まず簡単に腸内細菌について説明すると、ひとりのお腹の中に100兆個くらいいるといわれています。100兆個ってなかなか想像つきにくいですよね。地球の人口が77億人くらいなので、地球1万3千個分の人類と同じ数です。その数のこびと(腸内細菌)がお腹の中にいると思ってください。
こびと(腸内細菌)にも色んなタイプがいて、アミノ酸を作るもの、ビタミンを作るものなど、役割が違うんです。そして、どのような腸内細菌がどれだけお腹の中にいるかも人によって違います。どういう菌がどれくらいいるかで、その人の体の特徴と病気の関係とかも色々わかってきています。AuBは特にアスリートの腸内細菌を調べることで、持久力が高い人はどういう特徴があるのかとか、筋肉がつきやすい人はどういう特徴があるのか、さらに理想的な状態の体にするにはどうしたらいいのか、といった研究をしています。
鉄崎:750人以上のアスリートの便を研究して、一般の人たちと明らかに違うものなんですか?
アスリートの便には酪酸菌が多い!
冨士川:違いますね。一番大きな違いが、腸内細菌の一種である「酪酸菌(らくさんきん)」の量で、アスリートの便には酪酸菌が多いんです。酪酸という物質が今、注目されているんですが、それが多いと免疫力にも関わることがわかってきました。過度な運動をすると免疫力が落ちてしまうといわれていますが、この酪酸菌が多いと落ちにくいということがわかっています。なのでアスリートは運動していない普段の状態だと非常に免疫力は高いんだと思います。
この仕事を始めたきっかけは?
鉄崎:冨士川さんはどうして今のお仕事を始めようと思ったんですか?なかなか変わったお仕事だと思いますが……。
冨士川:私はAuBに入って5~6年になりますが、きっかけは鈴木社長の共通の知人に誘われたことです。腸内細菌の分野はこの10年ですごく発達しており、次々に新しいことがわかってきています。宝探しをしているような感覚で、研究者としてはとても魅力的な仕事です。
鉄崎:まだわからないことがたくさんある分野なんですね!
私たちも腸内環境を知る方法はあるの?
冨士川:一番簡単にできるのは、朝に出た便をしっかり観察すること! 匂いのチェックも大事です! 卵の腐った硫黄のような匂いがしたら、食事の見直しをした方がいいです。形で理想的なのはバナナ型。硬すぎず、柔らかすぎずで、色は少し黄土色がかったような色がいいといわれています。
鉄崎:腸内環境を整えるために、普段の食事はどんなことに気をつければいいですか?
冨士川:一番大事なのは食物繊維をたくさん食べることです。腸内細菌の大好物が食物繊維なので、1日20gくらい食べるのがおすすめです。ちなみに脂肪やタンパク質が過剰になると、あまりよくない菌も増えてしまってオナラが臭くなったりします。
あとは、いろいろな種類のものを食べることも大切です。こびと(腸内細菌)にも色んな好みがあるからです。ちなみに酪酸菌は食物繊維や発酵食品で増えることが分かっています。私は1カ月で100種類の野菜や穀物を食べることを心がけています。
鉄崎:1カ月で100種類!? これはなかなか難しいですよね?
冨士川:ついつい同じようなものばかり食べてしまいますよね。なのでスーパーで買い物するときは、できるだけ普段食べていないものを選ぶようにしています。ありがちなのは、豆類や根菜、海藻を食べていないなどです。なるべくまんべんなく食べることが大事です。
大槻:腸内細菌、知れば知るほど面白いですね!ありがとうございました。
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