九谷青孝投手コーチは「いい時は社会人の打者がバットに当たらないんです。150キロで満足していいピッチャーじゃないですよ」と、期待の分だけ求めるレベルも高い。
「いい時」を通常にするために、この1年間、試行錯誤してきた。
10月上旬、今夏の都市対抗大会にも出場した社会人チームとのオープン戦に先発し、3回を投げて1安打無失点、3奪三振。
「まっすぐも良く、スライダーでカウント、空振りを取り、カーブで緩急が使えた。全部違う球種で三振も取れて、理想通りのピッチングができた」と追い求めてきた形が決まった。球種を取得したというより、腕を少し下げ、フォームを改善した結果だと言う。
「まだ基準に達していない」
昨年、NPB9球団から調査書が届いたが、指名はなかった。「(高卒)3年目でプロに行くんだと、当たり前のように思っていましたが、昨年の結果を振り返った時に『そりゃ漏れるよ』って理解しました。去年に比べて今年は良くなってはいるけれど、まだ基準には達してないんじゃないかと思う。今はヤマハで圧倒的な結果を出してドライチで行きたいなと正直、思ってます。焦ってはいません」
課題は「継続力」
昨年の悔しい経験がなかったら、自身の未熟さに気づいていなかったかもしれない。課題を「継続力」と捉え、1年間を通じて結果を出し続けるために、練習姿勢や日常生活を見直した。「その日の気分で練習を考えるのではなく、1カ月先までの練習メニューを決め、やりたいことを可視化する。登板日から逆算して、やるべきことに取り組む。日記も毎日欠かさずに書くようにしました」
日々を計画的に、規則正しく過ごすことで、調子の波も小さくなり、自分自身のコンディションに対する理解も深まった。
入部から3年間、手本であり支えでもあったフェリペ・ナテル投手コーチ(現ソフトバンク4軍投手コーチ)が昨季限りでチームを離れたことで、自立への意識も強くした。
圧倒的な結果を
都市対抗大会東海地区2次予選は、第1代表1回戦(ジェイプロジェクト)、同3回戦(トヨタ自動車)、第2代表決定戦(西濃運輸)、第4代表決定戦(三菱自動車岡崎)の4試合に中継ぎ登板。「ピンチの場面で登板できた、チームの信頼感という意味では成長できたと思ってます」。ただ、ポテンシャルはこんなものではない。圧倒的な内容、結果を追い求めていく。(編集局ニュースセンター・結城啓子)
◇
さわやま・ゆうすけ 2003年10月15日、浜松市生まれ。小学2年で野球を始め、浜松北部中では軟式野球部。掛川西高に進み、右腕榊原遼太郎投手(国学院大)との左右2本柱として3年春の東海大会優勝。同夏の静岡大会は5試合に登板して無失点だったが、チームは準決勝で東海大翔洋に敗れた。父は日系ブラジル人、母の両親は日本人とブラジル人。25年春、ブラジル代表としてワールド・ベースボール・クラシック(WBC)予選に出場し、本大会出場権獲得に貢献。187センチ、83キロ。




































































