
静岡市駿河区高松の海岸沿いに建つ白い壁が美しい洋館。昭和15年に建てられ、マッケンジー夫妻が暮らしていた邸宅です。
ダンカンマッケンジーはアメリカの輸出茶貿易商社の静岡支店長となり、夫人のエミリー・マッケンジーとともに静岡にやって来ました。ダンカン氏にはぜんそくの持病があったため、会社に近い静岡市の中心部から離れて、爽やかな海風が松林を渡るこの地に自宅を建てました。ここから見える富士山がふたりの大のお気に入りだった事もここに暮らす決め手となりました。
設計は、日本各地に多くの作品を残した建築家ウィリアム・ヴォーリズ。居間にある飾り棚が富士山をかたどっていることからも、夫妻の富士山への想い入れが伝わります。
エミリー夫人は夫の会社の従業員とその家族や、近所の住む人、子供たちを自宅に招待し、心のこもったおもてなしをしました。当時、静岡に来ていた外国人貿易商の多くは新茶の季節だけ静岡に滞在し、取引が終わると帰国していましたが、ふたりは静岡を永住の地と決めて静岡での暮らしに溶け込もうとしていました。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。