
【渋谷区立松濤美術館の「杉本博司 本歌取り東下り」】 廃墟に見えるのは気のせいか

和歌の伝統的手法「本歌取り」を作品に取り入れる杉本さん。MOA美術館の尾形光琳「紅白梅図屏風」をもとにした「月下紅白梅図」が思い浮かぶ。今回は葛飾北斎「富嶽三十六景」の「凱風快晴」が「本歌」の、六曲一双の新作を展示。和紙にプリントした写真は、特に遠景の輪郭があいまいで、筆で描いた絵と見まごうばかり。画面奥の木々のシルエットが「廃墟」に見えるのは私だけか。杉本さんに目くらましされているのかもしれないが。(は)

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