
王冠を持った大王の使者。それを前にしたアブドロミノののぞき込むような顔つき。陰影と機微に満ちた男たちの右下で、紅顔の少年がこちらを見ている。都市の城門の鍵をささげ持つ巻き髪の彼は、小首をかしげるようにして鑑賞者を見つめる。
彼の笑みの意味するところは判然としない。ただ、ドラマチックな場面に少しだけ「弛緩」した雰囲気を持ち込んでいる。歴史上の逸話が、「お隣の家で生じたいいこと」に見えてくる。(は)
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■静岡市美術館
住所:静岡市葵区紺屋町17-1葵タワー3階
開館:午前10時~午後7時(月曜休館)
料金(当日):一般1400円、大高生・70歳以上1000円、中学生以下無料
会期:9月23日まで